トップ >
数字経済 > 経済 > 円安の空襲、価格競争力落ち日本輸出中断憂慮…50億輸出が水の泡
京畿道・烏山(オサン)の纎維・皮革業社A社のカン代表(仮名)は、さいきん東南アジアの取引会社と進めてきた納品契約がどたん場で破れ、ひどい虚脱感におそわれている。この会社は日本の競合会社が独占していた物量の半分ほどを掴みとるために、開発から価格策定まで、取引相手のあらゆる要求に合わせて来た。しかし円貨の価値ががくんと落ちて、A社は価格競争力を失って契約を掴みとることに失敗した。カン代表は「製品開発だけでも1年ほど投資し、納品時は年間50億ウォンの売上げをあげるだろうと期待したが、すべての努力が水泡に帰した」と嘆いた。円安現象が1年以上継続し、輸出中小企業の苦痛が加重している。
ソウル・衿川区(クムチョング)所在の自動車プラスチック金型業者のS社はこの頃そわそわしている。製品の90%を日本に輸出しているが、円安で現地の競合社との価格差が消え、いつ納品を中断することになるかわからないからだ。
S社の代表は「日本に対する輸出が多いことから、円安で今年に入って売上げが約15%も減った」とし、「他の方案として、インドネシア・フィリピンなどに取引先の多辺化を推進しているが、これとても容易ではない状況」と語った。円安による中小企業の被害はアンケート調査にも現われている。
3日、中小企業中央会が輸出中小企業101ヶ所を対象に為替実態を調査して発表したものによれば、44.6%が今年の下半期の輸出が前年同期との対比で減少すると見ている。その理由の中で一番高いパーセントを占めたものは為替だ(40%)。特に国家別の輸出減少理由を仔細に見ると、とりわけ日本の場合に為替が一番多く挙げられた(62.5%)。調査対象企業があげたウォン・円為替の損益分岐点は100円当たり1115.83ウォンで、1030ウォン内外である最近の為替とはおおよそ80ウォン程差があることと一脈相通ずる。
問題は円安現象が固着化・長期化する可能性が高いという点だ。IBK経済研究所のチョ・ボンヒョン研究委員は「外為危機やグローバル金融危機と違い、円安は10年近く長期化する可能性もある」とし、「大企業に比べて為替に脆弱な中小企業が感じる心理的不安感はもっと大きくなるしかない」と語った。さらに、回答中小企業の68.4%は為替リスクを管理できる条件を全く備えておらず、為替変動に無防備状態で露出していると現われた。
これによって、政府のより積極的な対策が必要だという指摘が提起される。日本企業と競争を避けることができる新興市場への販路多角化支援や技術開発・マーケティングサポートなどが代表的だ。為替変動性のため一時的に財務構造が悪くなる企業には金融支援も必須だ。
産業研究員のシン・ヒョンス研究委員は「国内の中小企業はKIKO(Knock-In, Knock-Out)事態以後、積極的な為替ヘッジをためらい、韓国ウォンの価値上昇による被害がより大きくなる得る」と診断した。そして続けて、「政府は為替変動による中小企業の被害をモニタリングし、為替変動保険などの予防措置を取って不確実性を確実に取り去らねば」と語った。
こんな中で中小企業みずから道をさがす姿も目だつ。慶尚南道・金海(キメ)所在のプラスチック射出部品製造企業のC社は、円安長期化で日本の顧客との取り引きで赤字が累積するやいなや、協議を通じて納品価格を90%引き上げた。C社の関係者は「長年のあいだ関係を続けて来た日本側の顧客がこちらの事情を理解してくれた結果」としながら、「顧客とは円安が持続する場合に備えて円貨連動制にも合議した」と明らかにした。