A. | まだ商業広告を全くしないイギリス放送BBCニュースには特別なものがあります。 自社の記事まで客観的に報道し、1982年にアルゼンチンとフォークランド戦争を行った時は、英国軍を味方という呼称の代わりに英国軍と称するほど公正性に対する定評が高いです。それより90秒のカウントダウンは、世界のどの放送にもないBBCだけの特徴です。 だからといって、BBCが放送を始めた当初からニュース開始前にカウントダウンしていたわけではありません。上の写真は最初にカウントダウンを始めた1999年の映像で、下は最近放送したカウントダウンの映像をキャプチャーした写真です。 商業広告のないBBCは放送番組の間を公共広告で埋めました。カウントダウンが始まる前は画面に時計を映し、定刻になったらすぐにニュースになりました。 カウントダウンは機器副調整室の液晶画面だけでした。送出シンクを合わせるためのカウントダウン時計があって、それを送出画面でイメージ化したのです。90秒のBBCニュースのカウントダウンがあまりにも有名なので、数多くのバリエーションも登場します。 BBCニュースにカウントダウンが必ず必要なのでしょうか? 商業広告のない放送局としては公共広告や時計よりは多様に変形できるカウントダウンが必要だと思います。 人が最も多く覚えているカウントダウンは、年が変わる瞬間、そしてロケット発射のシーンです。 人々が集まって手に手を取り合って『Auld Lang Syne』を歌った後、9、8、7、6、5、4、3、2、1を叫んでから、新年がやってきたと狂ったように酒を飲んで踊るシーンはよく見かけます。この群れに属していない人は、ホールの外で寂しく後ろ向きになります。 新年のカウントダウンは、緊迫感を楽しむこと以外には、はっきとりした意味を探すのは難しいです。 ただカウントダウンをしながら楽しむだけです。 人々が気をもみながら見守るカウントダウンは、おそらくロケット発射のシーンでしょう。 10、9、8…数字が減っていき、0になった瞬間轟音を立てて青空へ飛んでいく場面の代わりに、ロケットが静かになったり何も起きなければ… だからカウントダウンの緊迫感が中継画面の向こうの視聴者にまで伝わってきます。 実は、ロケット発射のカウントダウンは数日前から始まります。 ロケットに注入する液体燃料は、あらかじめ満タンにすることができないためです。酸化剤を注入した瞬間から気化が進むので、発射直前に入れます。ロケットの打ち上げは徹底的に決められた順序で行われます。だからカウントダウンは次の段階に移ってもいいというシグナルなのです。 現在、科学技術ではロケットを発射する特定の時間帯があります。地球低軌道を回る国際宇宙ステーションに補給品を伝達するロケットの場合は、ランデブーの時間に合わせて打ち上げなければなりません。打ち上げのチャンスを逃せば、1日以上待つことになる可能性がありますが、充電した推進剤を排出するなど作業が複雑です。だからカウントダウンは、空のドアが開いている時に急げという信号でもあるわけです。 ロケット発射にはあらゆる分野の技術者が動員されます。 宇宙開発初期には指定された作業者が30秒前にタンクの圧力を点検し、20秒前には駆動点検、そして10秒前から航法計算を点検しました。ところが、指定された作業者に時間を知らせる時計が一致するという保障はありませんでした。 カウントダウンを知らせるマスターが必要でした。 10、9、8…。 打ち上げが差し迫ったことを知らせるカウントダウンのほか、すでに数多くのカウントダウンが行われていたのです。 |