A. | 皮膚科医からこのような質問を受けた場合、こう言われます。 「いい質問です。(Good Question!)」 患者が病院を訪れる決心を固めることもあるでしょうが、実際にニキビを潰して一生後悔することになりかねないからです。 病院に行ってみたら大したことなかったですよ。 そう感じるかもしれません。薬を塗ってくれるか、使い捨ての注射器の針で刺して面皰(めんぽう)を潰すだけのように見えるからです。あれくらいは家でしてもよさそうな気もするでしょう。 * 毛穴が詰まって毛包の中に溜まった皮脂は、時間が経つと硬く固まるが、これを面皰(ニキビの種)と呼びます。ニキビ菌が面皰と会ってニキビになります。面皰には細菌が喜ぶグリセロール(glycerol)がたくさん入っていて、ずっと放置していたら黄色の膿が出来ます。 出来たばかりのニキビは、鏡を見ながら1人で解決できると思います。 しかし、面倒くさがって放っておくと顔のあちこちに広がり始め、これは放っておいて大変なことになるのかと思って絞り出してしまうと、顔にブツブツが残ることがあります。 ニキビを潰した部分が、そのまま傷跡として残ることがあるという話です。 ニキビは、膿む前に治療しないと傷が残りませんし、膿んだ場合は処置をしっかりしてこそ後で後悔しません。病院に行くお金を節約するために、1人でニキビを潰して傷跡を治療するために財布の中身が空になるかもしれません。 特に注意しなければならない部位があります。眉間から上唇までの部位です。 三角形の周辺にある静脈が、三角形の頂点で脳の内側にある静脈とつながる部位なので、顔にある急所なのです。 眼鏡をかけた人は分かりますが、この部分を打たれると、とても痛いです。痛みがひどい部位は、できるだけ刺激を避けようと進化したという話です。 鼻の周辺にあるニキビを潰して、ニキビから出た膿が顔面静脈に乗って脳とつながった部位を通じて脳内に入り、炎症を起こすこともあります。 怖い話です。 稀なケースですが実際に起こることです。 ビューティーYouTuberのラミュク(lamuqe)は該当部位にあったニキビを潰したところ、「感覚神経麻痺」で来院したそうです。 小さなできものを解決しようとしてあんな状態になりましたが、ニキビが残しておいた膿が脳に流れ込むと考えてみてください。 ぞっとしませんか? だから鼻の周りのニキビを一人で解決しようという考えは諦めたほうがいいです。ところが、よりによって危険な三角形に皮脂が多くニキビもたくさん出来ます。 たまたま鏡を見てみたら、潰したい欲望が強すぎてニキビを潰してしまうことがあります。しかし、そのまま横になっては困ります。顔面静脈の中に入った膿や皮脂が重力によって脳に向かいます。 脳と血管の間にある血液脳関門が脳に外部物質が入るのを防ぎ、細かい病原菌は免疫系が防いでくれますが、顔面静脈と脳の間には関門がないうえ、脳の内側には膿や皮脂を取り除く安全装置がありません。 なぜGood Question!と感嘆符まで付けたのか分かりますよね? |