A. | 『愛の不時着』に出てくる北朝鮮の言葉を勉強し始めます。 北朝鮮ではドーナツを何と呼ぶのでしょうか? カラクチパン(指輪パン)と呼ぶそうです。 意外にすてきな言葉ですね。 ある意味手錠のようでもあります。米国のドラマを見ると、FPIであれNYPであれ、刑事がドーナツを食べる場面がよく出てきますが、犯人を捕まえて手錠をかけたいという熱望が暗々裏に現われたのでしょうか? 真ん中に穴が開いたドーナツが初めて登場したのは19世紀中盤です。 中央が空っぽではない丸いパンはもっと昔からありました。オランダのパン屋で16世紀から「油で揚げた菓子」を作り始めましたが、信仰の自由を求めて大西洋を渡った清教徒が製パン技術も持ってきました。 あまりにも油が多いので、最初に付けられた名前は「オイルケーキ」だったそうです。 アメリカ人は油で揚げたパンにピーナッツを乗せ、「ドーナツ(doughnuts)」と名づけました。 「Doughnutsは、生地(dough)とピーナッツ(nuts)の合成語です。 最近は、売っているドーナツにピーナッツが乗ってるのを見たことがない人もドーナツと呼んでいるので、ピーナッツは名前だけ作ってそっと去っていきました。 とにかくドーナツは、その頃もアメリカ人が好んで食べていたようですが、少し不満を持っている人もいました。 船乗り、正確に言えばメイン州出身の海軍大尉ハンソン・グレゴリーも同じ不満を持っていました。 何の不満ですかって? 真ん中の方がまだ火が通っていないという点でした。パンが大きいので、真ん中がしっかり火が通らないこともあるでしょう。真ん中まで火を通すと、端は焼けてしまいます。 とにかくハンソン・グレゴリーは、お母さんがドーナツを作ってあげると、コショウの入れ物で真ん中を掘り出して、おいしいところだけ食べました。ハンソン・グレゴリーが掘り出した未熟な部分は、おそらくお母さんの口に入ったのでしょう。 申し訳ないと感じていたでしょう。食べ物を浪費するという気持ちも少しはしたはずです。そして最初から小麦粉の生地の真ん中に穴を開けて揚げる方法を考え出しました。(一説には彼が軍艦を操縦する際、キーにかけるために真ん中に穴を開けたとも言われています。 いずれにせよ、彼の故郷のメイン州にはドーナツに穴を開けたハンソン・グレゴリーの功績を称える青銅板があります) ドーナツは普通幅9センチで、高さ3センチ、直径2.5~3センチの穴がありますが、穴がない時よりも表面の幅が7%ほど大きくなります。 輪状の内外に熱が伝わるので、油で揚げる時間も減って味もさっぱりしてきました。(ドーナツ会社では、生地にいちいち穴をあけて揚げたりはしません。生地を機械の中に入れると、管から出てくる時に輪状になり、油の中にそのまま入れて揚げられます) ドーナツとは違いますが、真ん中に穴を開ければすぐに火を通すことができるという原理を利用した料理が韓国にもあります。 コチュジャンで有名な全羅南道(チョルラナムド)淳昌(スンチャン)の穴が開いたコチュジャンメジュ(味噌玉)です。 淳昌のコチュジャンメジュを北朝鮮の人たちが見たら「カラクジメジュ」と呼ぶかもしれませんね。 |