A. | 筆者が中学や高校で学びながら頭の中に入れた内容は次のようなものです。 XXは女、XYは男。 精子と卵子が出会った瞬間、胎児の性別が決まると学んだ筆者と同世代は、XY女子、XX男子がいるという話を信じないでしょう。胎児の性別を決定付ける最も重要な役割を果たすSRY遺伝子が発見されたのは1990年ですから、別に学習しない限り学生時代に学んだ内容を無視するわけにはいかないでしょう。 XX = 女、XY = 男。 固定観念が頭の中に埋まっているので、生命工学の新しい理論を受け入れることも難しいです。 胎児の染色体がXX、XYの2種類だけではありません。X0(X染色体が1つであるターナー症候群*)、XXY、XXXY**、XXXそして超男性と呼ばれるXYY。(X染色体がどんなに多くてもY染色体が1つあれば男性に分類されます) * ターナー症候群(Turner syndrome):卵巣形成不全、早期閉経、低身長(成人の身長140cm)、自己免疫疾患等が現れます。 **X染色体が2つ以上になると、クラインフェルター(Klinefelter)症候群患者に分類されます。精巣の大きさが小さく、乳房が女性のように肥大化し、乳がんにかかる確率も高いです。お尻も大きく、体毛もほとんどありません。男児1000人当たり1人の割合で発生します。背が高く、特に上半身に比べて下半身が長いです。 しかもXYの女、XXの男もいます。 ジャン・ジョンソンは見た目は完璧な女性です。男性の性器もなく、胸やお尻も女性の姿です。しかし卵巣はありません。 SRYの手練手管です。 Y染色体は男性を決めるのではなく、SRYの活動を促進させる役割をするだけです。 SRYは胎児が6週間ぐらい経った時に作動します。 6週間前には性別が決まらない状態で、男性、または女性にもなれるということです。 SRYが発現すると男性の象徴が生まれ、睾丸で男性ホルモンのテストステロンを分泌しますが、このホルモンが男性的特徴を作り出します。 ジャン・ジョンソンはテストステロンに反応せず、XY染色体を持っていても女性の体型になっているそうです。 SRYが発現する前の胎児の様子は女性です。つまり人間は女性の体で生まれ、男性にもなるということです。男性がほとんど役に立たない乳首を持つ理由です。 XX男性は男性の性器を持っています。ただ成長過程でY染色体の影響を受けられず、性機能が不自由な状態です。 追加で説明すると、私たちが勘違いしている常識はほかにもたくさんあります。 最も代表的なのが、「私たちが精子だった時代、私たちも1位だった」ということです。 最初に走っていた精子は、女性の白血球などの攻撃を受けて酸化したり、道を間違えて受精に失敗します。最初に卵子に到着した精子も、卵子の保護膜である卵丘細胞層を突破するためにエネルギーを消耗し、運命を迎えます。後ろで顔色だけを伺っていた精子1つが、運良く卵子と結合するようになります。 とにかく、極度の小さな確率を突破したおかげで、今日の「私」がいるのだから、1位2位を計算しても仕方ないでしょう。 |