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ポスコ「仮想水素還元製鉄所」を構築…水素還元製鉄の研究


    • 仮想空間で製銑・製鋼工程を実現できるポスコのデジタルツイン「ポスプロット(PosPLOT)」の姿。
      [写真提供=ポスコ]


    ポスコはメタバース(デジタル仮想空間)とデジタルツイン(デジタル双子空間)技術を活用し、「仮想製鉄所」の設立を推進する。ポスコの炭素中立ビジョンの核心といえる水素還元製鉄技術を一次的に試験する空間が、まさにこの仮想製鉄所になる可能性が高い。

    28日の鉄鋼業界によると、最近ポスコは「鉄鋼メタバースソリューション開発タスクフォース(TF)」を新設した。ポスコにメタバース組織が作られたのは今回が初めてだ。このTFは鉄鋼の製造工程などに関するメタバース活用方案を研究中であることが伝えられた。同時に、ポスコは「ポスプロット(PosPLOT/POSCO Process based Lowest-cost-oriented Optimization Technology)高度化TF」も新たに設立した。ポスプロットとは昨年9月、ポスコが開発して公開したデジタルツインシステムだ。仮想空間で炭素排出などの環境影響と収益性を確認するために構築したが、今年から高度化作業に着手したわけだ。

    このように同時にメタバースとデジタルツイン技術の研究に乗り出したことと関連し、ポスコは「最適な燃料・原料の投入・配合を見出してコストを削減し、二酸化炭素排出量の変化を把握するための次元」だと明らかにした。鉄鋼業界では、これを水素還元製鉄技術開発のための準備作業の一環として解釈する。

    水素還元製鉄とは、鉄鉱石(Fe2O3)から鉄を生産する際に石炭の代わりに水素を活用する技術だ。鉄鉱石から酸素を分離(還元)してこそ鉄になる。これまでは石炭から発生するガスが還元剤の役割を果たし、この過程で二酸化炭素が発生した。

    ポスコは2040年までに水素還元製鉄技術を開発し、2050年までに現在の高炉(溶鉱炉)方式を徐々に水素還元製鉄方式に転換していく計画だ。水素還元製鉄技術が導入されると、高炉で石炭と鉄鉱石を一気に溶かす工程がなくなるため、最終的には製鉄所で炉を見ることができなくなる。その空間は「水素流動還元炉」で満たされる。

    問題は伝統的な鉄鋼生産工程に大転換が起こるうえ、水素還元製鉄はかなり難度の高い技術であり、商用化されるまでの研究開発と実証コストの規模が多大だということだ。例えば石炭に代わる水素は高温でなければならないが、水素は爆発性が高いために安定した取り扱いは容易ではない。また水素還元製鉄のためには、再生エネルギーで水を電気分解して得たグリーン水素を大量に確保しなければならないが、これもまだ難題として残っている。ポスコは高炉の埋没費用を含め、水素還元製鉄にかかる費用は30兆~40兆ウォンに達すると推定している。

    ところがメタバースとデジタルツイン技術を活用し、仮想空間に水素還元製鉄所を構築すれば、各種のシミュレーション費用の負担を大きく減らすことができる。物理的な制限がないために、より簡単かつ容易にさまざまな試みを行うことができ、必要なコスト計算もほぼリアルタイムで行われる。たとえ結果が失敗で終わっても、仮想空間での実証であるためにリスク負担も大幅に減る。
  • 毎日経済 | イ・ユソプ記者 | 入力 2022-02-28 20:44:07