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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    韓国で潘基文(パン・ギムン)国連事務総長はどう評価されていますか?
  • A.
    もう9年も国連事務総長を務めていますから、自慢するに値する人物でしょう。好感度も高い方です。

    政治性向は置いておいても、彼に対する期待は明らかに存在します。与党の親朴陣営、野党の親盧陣営が後ろのポケットに潘基文(パン・ギムン)カードを入れているという話も聞こえます。かつては野党の有力大統領候補でしたが、最近は親朴陣営が指をくわえて待っている状態です。

    ところが、極めて個人的な考えですが、ちょと奇妙でもあります。大型書店で彼を扱った本を見ると、偉人伝コーナーに最も多く登場するのです。本のタイトルを総合すると、「粘り強さと誠実さで平和を説得した世界の大統領」となります。ちょっと大げさすぎないでしょうか。偉人伝って、すでに過去の人物になってしまったのだろうか、このような考えも浮かびます。

    彼の故郷の村に行ってみると、すでに半神になった状態です。卵から生れた人間だといっても信じそうなほどです。

    • < 「国連事務総長 潘基文生家の村」という標識がたてられている >


    • < 潘基文記念館 >


    • < 誕生から国連事務総長になるまでを見せてくれる >

    もちろんそう評価することもできるでしょう。幼い頃から勉強ができて、賢く立ち回る学生でしたから。今でも上手に立ち回るため、有力な大統領選挙の走者となっているのでしょう。

    田舎の貧しい家庭で生まれた潘基文は家の仕事を手伝いながら、一度も勉強において1位を逃したことがないそうです。高校3年生の頃には赤十字が後援するエッセイ大会に選出され米国に行き、当時ホワイトハウスの所有者であったケネディ大統領に直接会う機会も得ました。

    • < 円の中に見える人物が潘基文 >

    その場で、あるジャーナリストが将来の夢を聞いたところ「外交官になる」と答えたそうです。自分の夢を叶えるために、ソウル大学の外交学科に入学し、1970年、外交官試験に合格して外交官としての人生を始めました。そして今、彼は外交官の頂点に上り詰めました。

    今の彼を作った政府は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府です。政治的性向とは多少ずれていた彼に外相に任命したからです。国連事務総長である今でも、外交部長官在職時にも、彼は徹底した親米路線に立っていました。駐韓米軍基地の環境汚染問題が発生したとき、汚染を浄化するためのコストを米国が負担しなければならないという環境部の主張を無視して、アメリカの声を代弁する役割を引き受けました。

    そのおかげで国連事務総長になったという解釈もあります。アフリカ大陸出身のアナン前事務総長に続いてアジアから事務総長を出す時期が来たとき​​に、幸運をつかんだのです。潘基文が最高の競争力を持っていたわけではありませんが、出馬宣言をした各国の候補が欠格事由を持っていました。

    安保理常任理事国であるフランスが「フランス語ができないから」と拒否権を行使しようとする動きを見せると、一夜漬けでフランス語を勉強したりもしました。とにかく勉強のできる学生でしたから、そこまで大変ではなかったようです。

    韓国政府は競合していた非常任理事国選挙での競合を放棄してインドネシアを支持して東南アジア地域の票を得て、インドを牽制していた中国も潘基文をプッシュします。韓国の潘氏は、高麗時代に帰順した中国人を始祖とするのですが、国連事務総長になった後には、中国人の血統が国連の首長になったと喜んだそうです。

    それにもかかわらず、国連事務総長になる道は最後まで簡単ではありませんでした。国連安保理にて、事務総長は満場一致で推戴されるのが慣例だったのですが、無記名投票で1票が最後まで「反対」を固守したのです。米国の努力により反対票が棄権に立場を変えて事務総長になりました。

    ここまで来れば故郷の村で紹介するように天運を持って生まれた人なのかもしれません。

    潘基文は徹底したテクノクラート(技術官僚)です。リーダーというよりは、管理者の方に属します。韓国外交部には「潘の半も真似してはならない」という警句があるそうです。

    外交部の次官時代、総理大臣の海外歴訪に随行したことがあるのですが、首相のすぐ前の席に座って10時間以上、居眠りすることなく、起きていたという逸話が伝説のように伝わっています。舟をこぐ姿を見せたくなかったというのもありますが、首相が質問を投げたとき、すぐに回答するためだったそうです。このような参謀を従えるのであれば、本当にいいですよね。

    リーダーよりは参​​謀として適格で、管理には素質があるものの改革的な事には似合わないという韓国時代の評が、国連事務総長の長期在任により変わったのでしょうか。そうかもしれません。そのため、潘基文の人気が高く維持されているのでしょう。

    潘基文総長は国連に入った直後から、朝鮮半島の平和のために北朝鮮を訪問するという言葉を繰り返してきましたが、まだ平壌の地には降り立てていません。そして今再び、訪朝説が出回っていますね。

    平壌上陸に続き、大統領候補としてソウルに上陸するスケジュールを踏むだろうという報道も出てきています。国連での任期が終わる前に、政治的立場を強化するために平壌に訪れるだろうという観測が有力です。

    しかし、彼を悪く見る人にとっては出世至上主義者、機会主義者に見える側面もあります。盧武鉉政権が彼を国連事務総長にしたようなものであるにも関わらず、盧武鉉元大統領が逝去したときに顔も見せなかったと、道徳性が欠けている人だと感じる人もいます。

    韓国人が潘基文を見るスペクトルは、現在のところ無色無臭に近いです。しかし、政界の予想どおり、国連事務総長の任期を終えた後に大統領選挙に飛び込む場合は、赤か青の色を持つようになることでしょう。この問いに対するしっかりとした答えは、そのときに出せることでしょう。