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[モノの哲学] キーホルダー、そばにある小さなトーテム

    バックパッカー旅行のときめきは、旅行に出掛けた人にだけ該当するものではなく、彼を待っている親しい友達にもある。隔てるもののない仲ならば彼が出国する際に軽い言葉で約束した旅のお土産が隠約の内に期待されるためだ。すごいことを期待しているのではなく、ふと気になるのだ。彼はそこでどんな輝くものを見て、その中から私の前にどのような小風景を移してくれるだろうか。

    一方、出国時にどきどきした自分の心は入国時になると軽くイライラしてくる。適当なアイテムをまだ選ぶことができなかったためだ。キーホルダーはその時に適切なモノとなる。まずは「コスパ」が最高だからだ。ただ、お土産の優先順位が費用の問題にだけ絞られてはいけない。キーホルダーが「お土産」の本質を実現しているアイテムだからではないだろうか。

    鍵はそれ自体で完全なモノだ。他のモノの補助がなくても機能的に自立している。しかし、人々はどんな種類の鍵でも「そばに」「一緒に」いる適切なキーホルダーを自動的に思い浮かべる。他の鍵をもっとつける「ホルダー」が必要がないにもかかわらず、一つの「ペア」と考えるのだ。

    なぜだろう。最も簡単に考えると、きれいなものをつけておきたいという「デザイン的」な欲望と見ることができる。しかし、より深い無意識は「トーテム(totem)」に触れているというべきだ。トーテムはもともと部族信仰だ。家族や家系を守る神聖な動物を祀るものだ。鍵の基本は家の中に入るドアの鍵であり、昔は食べ物と財物を保管する蔵の鍵が最も重要な鍵だった。最近では、車のキーが重要な鍵に追加されたが、それも家の中の貴重な財物の「中に」「開けて入る」鍵であることは同じだ。

    キーホルダーは「ホルダー」という名称を使っているが「ホルダー」のみのキーホルダーはない。何かしらモノがついており、そのモノの中で「動物」は現代のキーホルダーでも基本的な部類に属する。おそらく、私の推測では最初に装飾するためのモノが動物から始まったのだろう。

    キーホルダーは小さくて、少ない費用でもきれいなものを買うことができるが、私たちはそれを選ぶ際に細心の注意を払う。福を「開けて」、その中に「入る」鍵の「ペア」、したがって個人の運勢を生活のそばで守ってくれる神聖なトーテムということを無意識的に知っているからではないだろうか。

    バックパッカーの旅行で持ってきたキーホルダーは、そこの風土で育った異国のトーテムだ。しかし福を守って祈願してくれる心は、世界中のどこのものでも普遍的だ。
  • 毎日経済_ハム・ドンギュン文学評論家 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-02-13 16:04:16