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多重下請けにより、中小企業を泣かす賃金格差と労働条件

毎経名誉記者のレポート / 非正規職よりキツい「悲」正規職…その名は協力社社員 

    • < 雇用の87.7%は中小企業 *資料=中小企業庁(2013)/ 逆ピラミッド型の賃金構造 *資料=雇用労働部(2013) >

    自動車部品を生産する2次協力会社A社の財務担当者であるチョン氏(46、仮名)は4日、「2014年決算報告書」を持って1次協力会社のB社を訪問した。B社はA社の決算報告書を見て、2015年の納品単価と暫定利益率を決める。もちろん、1次協力社であるB社は、それに先立って元請け会社である大企業から納品単価と利益率のガイドラインを受けとる。

    チョン氏はこれを土台に2015年の従業員の賃金を決定し、3次協力会社に納品単価を通報する。チョン氏は、「B社から示された納品単価では、賃上げは期待もできない状況」だとし「わが社に納品する3次協力会社は、事実上の‘最低賃金プラスアルファ’のレベルで賃金が決定されるしかないだろう」と語った。

    現在、「労使政委員会」で議論されている「労働市場の二重構造の改善」の焦点は「大企業の非正規職」に合わせられているが、実際に最も深刻な問題は、大企業の2~3次協力会社における労働者の労働条件の問題だ。正規職でありながら正規職らしくない彼らを「悲正規職」と呼ぶ。

    雇用労働部が2013年の雇用形態別労働実態を調査した結果、大企業正規職の時給(100)を基準とした場合、大企業の非正規職は66レベルで、中小企業の正規職は54、中小企業の非正規職は37だった。

    労働市場が大企業の正規職、非正規職、中小企業の正規職、中小企業の非正規職に序列化されたわけだ。中小企業の中でも、企業規模に応じて逆ピラミッド形を帯びている。

    政府の悩みは、大企業の非正規職問題よりも、中小企業の正規職の問題がさらに解きにくいことだという点だ。イ・ギグォン雇用労働部長官は、「大企業の非正規職問題は、制度改善を通じて解決できる可能性があるが、2~3次協力企業の正規労働者の労働条件は、基本的には当該企業の支払余力と関連があるので難しい宿題」だとした。

    問題は、国内雇用の大部分を占める中小企業の労働条件を改善しなければ、雇用の解決策は見えないという点だ。2013年時点の中小企業庁の統計では、300人以上の大企業は2916社で全体の0.1%に過ぎず、300人未満の中小企業は335万1404社で99.9%を占めた。大企業が供給する雇用は184万1790人で12.3%だったが、中小企業の雇用は1305万9372人で全体の87.7%だった。事実上、ほとんどの雇用は中小企業から生まれているわけだ。

    したがって、歴代政府は例外なく中小企業の重要性を強調し、支援を約束してきた。これまでにそのような公約の半分だけでも実施されたなら、いま韓国は中小企業天国になっていただろう。

    しかし現実にはそうではない。中小企業の数は変わらなかったが、中小企業が経済に占める割合は確実に減少した。就職志望者の目に映った中小企業の姿は、以前に比べてさらにみすぼらしい。

    「大企業がパーティをするとき、協力社は後ろで泣きます」。キム・ギムン中小企業中央会長は今月初め、退任するときにこう語った。ほとんどが大企業の下請け業者として存在する、国内中小企業の立場を代弁する言葉だ。

    よく企業に対する「規制緩和」を語るとき、その根拠として「落水効果」を語る。大企業が投資を拡大すると雇用が増え、これにより労働者の消費余力が生じて景気が活性化する好循環構造を実現できるということだ。

    • < チェ・ジェファン名誉記者 >

    しかし現在、韓国経済からはこのような落水効果と好循環構造が消えてしまった。大企業の投資が減っただけでなく、投資をしてもその効果が2~3次協力社にまで及んでいないのだ。

    経済改革研究所が先月発表した「50大企業の付加価値生産と流通に関する分析(2002~2013年)」報告書によると、付加価値基準で上位50社の大企業の付加価値の合計は、2011年の149兆7000億ウォンから2013年に169兆4000億ウォンに増加した。同じ期間、50大企業全体の投資規模は63兆8000億ウォンから58兆ウォンに減少した。投資も主にサムスン電子と現代自動車などの上位5社が44.1%を占めており、他の企業の投資はわずかだった。

    投資効果は労働市場のはしごの最上層部でのみ享受されている。

    経済改革研究所によると、2011~2013年にサムスングループと現代自動車グループの平均1人当たりの人件費は、それぞれ1億210万ウォンと1億410万ウォンだった。

    しかし、その効果が1~3次協力社にまで達していない。大企業の協力企業であっても3次協力社ほどにまで下がると、給料は最低賃金の直接的な影響を受けるレベルで決定される。もちろん、最低賃金よりも少し多く得るレベルで時給が決まるため、最低賃金の適用対象ではない。しかし、毎年引き上げて決定される最低賃金の額が、主な賃金引き上げ額の決定基準として作用している。このように、元請け企業の労働者と下請業者の労働者の間には大きな賃金格差が存在する。

    現在、韓国の青年就職難は深刻だ。一般的な失業率が3.4%であることに比べて、青年失業率は9.0%と非常に高い。このような青年就職難を見て、一般的に提示される解決策は目線を低くしろということだ。

    中小企業の労働者の賃金が大企業正規職労働者の半分にしかならない状況で、彼らに目線を低くしろということは、果たして説得力のある解決策だろうか。
  • 毎日経済_チェ・ジェファン未来社会労務コンサルティング代表/整理=キム・ギチョル記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-02-14 04:01:04