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[I ♥ 建築] ゴッホと監理

    フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)の作品の中に「ひまわり」という作品がある。もし、ゴッホが自ら描くことのできない状況になり、説明書のみを作成して、他人が描かれなければならないと想像してみよう。ゴッホは「ひまわり」を描く方法を最大限詳細に説明書に書く。「黄色は少し鮮やかな絵の具を選んで、筆のタッチは強くする。絵の具は最大限厚く塗って筆のタッチを生かすようにする。光が入ってくる角度をよく観察して、ボリュームがあるように描く」。そのような説明書を読んでから他人が描いたら、本当に私たちが見ている「ひまわり」という作品が誕生しただろうか。

    画家は常に全体の構図と色、塗料の密度と筆の強度などを決定しながら作品を作る。些細で微細な結晶が集まって作品が完成するのだ。建築も同様だ。建築士が最初のデザインを実施設計図に描くが、本当の作品を作るのは「監理」の段階においてだ。監理をしながら材料の色、質感、ハンドレールの溶接状態のようなディテールを決定し、作品が完成するのだ。

    韓国ではほとんどの場合、設計者と監理者を分離する。その意図は設計者と施工者が談合して建物を変に作るかも知れないと疑うからだ。さらに、規模の小さい事務所の設計者である場合は、大型プロジェクトの監理をできないように法で止めている。これだから、監理だけを行う大型事務所は競争が少なくて、比較的簡単に金を稼げる。このようにする場合、まともな完成度の高い作品は出てこない。

    まるでベートーベン(Beethoven、Ludwig van)が作曲した作品を、初演の指揮を他人に任せておいて、まともな曲の解釈が出てくることを期待するのと同じことだ。筆者は地方の建物を設計したことがある。交通費程度にしかならない金額の監理料を受けてでも、直接行って工事監理をしようとした。ひたすら完成度の高い作品を作って見るためだった。しかし、官公署は地元業者と監理の契約をした。このような場合、概ね施工者は新たな監理者と談合してコスト削減などの口実で、あちこちの設計を変えて他の建物を作り出す。

    設計者と監理者を分離する瞬間、建築物は最初の意図どおりにすることができないという事実を、この記事を読む方だけでも心に留めておいていただきたい。
  • 毎日経済_弘益大学建築学科 ユ・ヒョンジュン教授 | 入力 2015-06-18 17:23:14