A. | 「選手村で多くの関係が結ばれている。芝生や建物の間など場所を選ばずに恋をするのを見た。公開的なカップルが多かった」 2008年北京五輪と2012年ロンドン五輪で米国女子サッカーのゴールポストをしっかりと守ってくれたゴールキーパー、ホープ・ソロ(Hope Solo)氏の目撃談です。 ホルモンが充満する若い男女が集まっているので十分にあり得ます。五輪でメダルを取るという一念で長期間快楽を遠ざけていたはずなので競技を終えた選手たちが恋に落ちることがしばしば起きるでしょう。 今回の東京五輪でこのような光景を見ることは難しそうです。 まず試合を終えた選手たちは家に帰る飛行機に乗らなければならないので異性と会う機会もないはずです。新型コロナウイルスが拡散している状況で身体接触がタブー視されているため、なおさら難しいです。 それでも東京オリンピック組織委員会はコンドーム16万個を用意しました。アメリカのメディア、NPRの報道によると、あくまでもプレゼント用だそうです。 常習的にコンドームを使用して摘発されれば、せいぜい取ったメダルが剥奪されるかも知れないという警告まで下された状態だそうですが、本当の話なのかはよく分かりません。 コンドームがプレゼント用という点が強調され選手村内のベッドと関連していろいろな話が出回っています。耐久性の問題で波紋を呼んだベッドには「アンチセックス(Anti-Sex)ベッド」というニックネームが付けられていました。 笑い話のつもりでしょうが、「コンドームの使用抑制」を選手たちの優越な遺伝子を日本に撒き散らしていけという意味だという解釈もありました。 組織委員会がコンドームを配布していなかったら何も話さなかったはずですが、なぜコンドームを準備したのでしょうか? コンドームの配布がオリンピックの伝統になってしまったからです。 選手村でコンドームを無料で配布する伝統は1988ソウル五輪の時始まりました。 当時は世界的に後天性免疫不全症候群(AIDS)に対する警戒心が高まった時期でした。コンドームは韓国の主要輸出品の一つなので、オリンピックという好材料に恵まれて広報しようという目的もあったかもしれません。無料でコンドームを配布して反応が良かったのか、以後行われた五輪のたびにコンドームは選手村の必需品になってしまいました。2016年リオ五輪ではなんと45万個のコンドームが配布されました。 東京オリンピック組織委員会もこのような伝統を無視できなかったのでしょう。 伝統に従ってコンドームを配布しますが、身体接触を禁止した状態で使用を推奨することは難しいため、あくまでも「プレゼント用」と強調するしかない組織委員会の心情が理解できます。 プレゼントといっても面白いことが起きるのは同じです。 冷戦時代のことですが、ソビエト連邦のニキータ・フルシチョフ書記長がアメリカを訪問した際、特別製作したコンドームを大量にプレゼントしたところ「サイズが小さすぎてソ連人には合わない」と全部返したこともありました。強大国の地位をめぐって一寸の譲歩もない対決を繰り広げた両国が男性のシンボルサイズをめぐって競争したのでしょう。 各国の選手が選手村で得たコンドームを誰にプレゼントするかも気になるところです。家族?友達?五輪出場権を取れなかった同僚選手? 韓国の青少年は選手村が配布するコンドームが機能性コンドームなのかを知りたがっています。韓国では青少年は機能性コンドームを買うことができないからです。 タバコやお酒とは違い子供もコンビニやドラッグストア、自動販売機でコンドームを買えますが、あくまで普及型に限られます。青少年に凹凸式コンドームを販売して摘発され略式起訴された事例もあります。 凹凸加工、薬物注入型などの機能性コンドームについて約20年前に青少年保護委員会が下した「有害物」決定は、いまだに維持されている状態です。 普及型は大丈夫ですが、機能性はどうしていけないのでしょうか? 理由を聞くと少しあきれてしまいます。 「快楽を感じることを防ぐため」 コロナ・パンデミック(Pandemic)が地球村を襲う渦中に開かれる五輪競技、快楽追求はしばらく忘れたほうがいいという気もします。 |