A. | 深い海の中に住むものすごい怪物がか弱い水中生物を食べているように見えませんか? 食べるというのは正しいです。 人間の体内に存在する大食細胞が棒状の細菌を捕食しています。 体の中にいるからまだマシですが、体外に出たら虫嫌いの方はびっくりして飛び上がってしまいます。 少し不思議な形をしてますが大食細胞は白血球の一種です。 *大食細胞は、人体で最も活動性の高い細胞の1つであり、もし人体の外で生きて動けば、独立した生物とみなされるほどです。細胞の小器官も多く仮足も長く加水分解酵素も作ります。ミトコンドリアとともに個体の定義を悩ませる存在です。 免疫機能は、人体に浸透した敵を圧倒的な力で飲み込むだけではありません。 マクロファージは残念ながら寄生虫、コレステロール、大きな脂肪、アスベストなどは摂取できません。寄生虫と戦うのは白血球のうち小柄な好酸球です。 ネズミに線虫を入れた時に起きる免疫反応です。好酸球が蜂の群れのように飛びついて攻撃します。 新型コロナウイルス(SARS-COV-2)を大食細胞など免疫機能が処理できない最大の理由は、偽装戦術のせいで気づかないからです。 新型コロナウイルスは、上皮細胞にくっつくスパイクに変異が生じたため、体内の免疫系は初めての見慣れないものだから、「なんだろうか?」 と戸惑っているうちに、そっと呼吸器に侵入してくるのです。 抗体があったら、話は変わるでしょう。 抗体は抗原の刺激によって作られ、抗原にくっつくタンパク質です。抗原を無気力にしたり、大食細胞に「ここにいる」と、食べさせる役割をします。 簡単に言えば、血漿治療は新型コロナウイルスに感染した後、治癒しない患者にこのような抗体を投与することです。 ここでまた血漿が何なのか調べて次に進みますね。 血漿は血から血球細胞である赤血球、白血球、血小板を除いた液体成分で遠心分離すると約55%になります。9割が水で、あとはグロブリンなどのタンパク質と無機質成分、そして抗体が入っています。 あ、抗体!! もうお分かりでしょう? 感染後、治癒していない患者にウイルスと戦って勝った抗体を供給するというのが血漿治療です。新しい武器を与えることになります。 新型コロナウイルスに感染して完治した患者の抗体を投与するのが、医療システムが不足してる国に診断試薬、医療装備を支援することと、かなり似ています。 さて、 血漿治療は効果があるのでしょうか? 滅びる直前の軍隊に苦労して武器を空輸しても、必ず勝つとは断言できないのですが、この場合も同様です。 5000万人の命を奪ったスペイン・インフルエンザの時、1700人あまりが血漿治療を受けましたが、効果が検証されたという記録がありません。20012年SARSが猛威を振るった時は香港で若干効果がありましたが、2015年MERSの時、韓国で完治者の血漿を患者2名に投与しましたが、効力がありませんでした。 今回、韓国セブランス病院の教授チームが、71歳の男性と67歳の女性に新型コロナウイルスに感染してから完治した20代男性の血漿を投与し、ステロイド治療を並行して2人とも健康を回復したという嬉しい知らせが聞こえてきました。 血漿治療を試みたのは韓国が初めてではありません。 韓国に先立って、アメリカのヒューストン・メソジスト病院でFDAの承認を受けて重症患者に投与し、中国の研究チームも完治患者の血漿で治療に成功した事例を発表しています。 ここでこんな疑問が生まれるでしょう。 患者の状態がさらに険悪になる前にもっと早く血漿を投与するのがいいのでは?という問いです。戦闘が熾烈になっている時、武器を供給したほうがいいという意見も妥当に聞こえます。 問題は血漿に抗体のほかに何が入っているのか、患者の体に害のある物はないかはっきりしておらず、副作用の恐れも大きいということです。 ですから血漿治療は治療剤がないとき、最後の手段として使われるしかないのです。 しかし、実際に使用可能なワクチンの開発は遠く、治療剤の開発も数か月後になるかもしれない状況で、新型コロナウイルスの感染患者が血漿治療に依存するようになる可能性がかなり高いです。 |