A. | 昔々、新居へ引っ越した際に庭にムクゲを植えたことがあります。 筆者の学生時代の話だから、本当に遠い昔の話です。 虫がたくさん集まる上に、最近はわざわざ探さないと見かけることすらできないほどです。 国や地方自治体に国有地と共有地にムクゲをたくさん植えろという振興計画まで立てたほどです。 それでもムクゲがあまり見当たらないことから、一時は国花をムクゲからツツジに変えようという話も飛び交いました。元はと言えばこんな主張もナンセンスです。ムクゲを国花にすると公式宣言したことがないからです。ただ慣習的に*韓国の国花として言及しているだけです。 * 愛国歌を国歌に制定した翌年の1949年、ムクゲを国花として普及させたことはあります。韓国政府の昔の紋章、大統領の徽章、裁判所のマーク、国会議員の金バッジ、勲章、1ウォン玉、警察官や刑務官の階級章、下士官以下の軍階級章の背景として使われていることもあります。 韓国が農業国家だった頃は、韓半島にはムクゲが多く見られました。 農村で害虫駆除用として田畑のそばにたくさん植えられたからです。農作物に飛びかかる虫がムクゲにターゲットを変えて、冬には肉食虫がムクゲの木の中で冬眠し、暖かくなると出てきてアブラムシと害虫を捕食しました。 無窮花 三千里 華麗江山 無窮花 無窮花 韓国の花 こんな歌の歌詞が顔負けするほどよく見られたということです。 産業社会に変わりムクゲの用途が不要になり、観賞用としてもあまり適していなかったため、ムクゲは見られなくなったのです。 昔、害虫駆除を目的にムクゲを植えただけではありません。 古代には神聖視される植物として、天に祭祀を行う神壇の周辺に植えられました。新羅の文豪、崔致遠(チェ・チウォン)は、中国の唐に送る文書に新羅を「ムクゲの国」と書くこともありました。 朝、咲いて夕方に沈むムクゲを見て、中国では虚しさを象徴していましたが、韓半島ではこれを貞節**と考えました。 朝鮮中期の詩人、高山尹善道(ユン・ソンド)の詩"『ムクゲ』によく表れている。 甲日花無乙日輝 一花羞香兩朝輝 葵傾日日如馮道 誰辨千秋似是非 今日咲いた花が明日まで輝かないのは 1つの花で2の朝の日差しを見るのが恥ずかしいからだ 毎日、お日さまに向かって、頭を下げるひまわりしかないなら 世の是非をだれが見分けるか 貞節、神棚に今日は何の意味がありますか? 何の価値もないです。 そのため、ソウル、釜山(プサン)大都市の道端にはムクゲが見られなくなりました。 昨年末、国立山林科学院の研究チームは、ムクゲの根から肺がん細胞の増殖を防ぐ抗がん物質を発見したそうです。 欧州天然物学会が発刊する学術誌にも載りました。 この研究結果が幅広く受け入れられれば、韓半島全域にムクゲが再び咲き始めるかもしれません |