A. | 特別な資格を持っている料理人だけが扱える魚があります。 フグです。 この資格を取るために行う試験のことを「プクコシ」(フグテスト、북고시)とも言います。独学で筆記試験を受けることはできますが、実技は独学が不可能なので塾に通わなければなりません。制限時間内に除毒処理をし刺身を作りちり鍋まで作らないといけないので、並大抵の実力では合格は難しいです。 資格が必要な食べ物なので当然値段が高いです。 それでも都心のフグ料理店にはお昼頃にはサラリーマンの足が絶えません。お客様の中には昨晩飲んだお酒の酔いを醒ませようとする人がかなり多いです。 フグのメウンタン(辛い鍋)、フグちりに欠かせないのが韓国料理のハーブ、それがセリです。 「すみません、セリをもっと下さい」 セリを追加注文する声が食堂のあちこちで聞こえます。 セリは、はるか昔から春の訪れを告げる食材でした。春が恋しい人には真冬にもセリが食欲をそそります。 セリは朝鮮時代、王の食卓にも上りました。牛肉や錦糸卵をゆでたセリでくるりと包んだミナリガンフェ。こうして作って酢コチュジャンにつけて食べるのに、甘酸っぱい酢コチュジャンとセリの香りが合わさると…、想像しただけで口に唾が溜まります。
各種刺身の和え物やアンコウの蒸し物、魚の蒸し物にもセリが一番上に載ります。油揚げ袋の口を封じる用途にも使用されます。アンコウの蒸し物を例にとると、赤いアンコウの蒸し物に青みを出すセリのおかげでおいしそうに見えます。 煮込んでも、チヂミにしてもセリにはコリコリとした食感が残っています。ふにゃふにゃの野菜が嫌いな人にはうってつけです。 越冬用のキムチがなくなる頃にはセリでキムチも作って食べました。カタクチイワシの塩辛に粉唐辛子、ニンニク、ショウガなどで味付けをして混ぜ合わせたセリキムチは、全羅道(チョンラド)と慶尚道(キョンサンド)の春の珍味でした。キムチを作るのが面倒ならセリに生牡蠣を入れて酢コチュジャンで和えるだけで冬の食欲を取り戻すことができました。 料理するのが本当に面倒なら生で食べても構いません。生で食べるのを第一と考える人も結構多いです。最近ではサラダの定番のようです。 それでセリの価値が、もっと高くなりました。 3月はセリの除毒作用が光を放つ時期でもあります。 昔からセリは様々な薬理作用で広く知られてきました。朝鮮の医薬を集大成した『東医宝鑑』にも、セリが黄疸や婦人病、飲酒後の頭痛や吐き気を和らげる効果に優れていると書かれています。 セリの効能を簡単に紹介しましょう。 * 便秘の改善=多量の繊維質とビタミンC成分、水分が豊富なセリが宿便を取り除くのに最高です。 * 止血作用=女性の下血と月経過多症に良いし、打撲で血が出る時も止血する時に使えます。セリをよく食べた人は、血をあまり流さないという話まであります。 * 血管系疾患及び高血圧治療=血圧を正常に調節し体内に溜まったコレステロール数値を下げ血管内の老廃物を排出する役割もします。 * 貧血=セリにある豊富なビタミンC成分が鉄分の吸収力を高めるため貧血に効果的です。 * 肝臓の機能強化=頻繁な飲酒で傷ついた肝臓の機能を回復させ保護してくれます。 |