A. | 韓国ドラマ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』の怪物はゾンビとは少し違います。 ウイルスに感染して起こる症状でもなく噛まれて伝染することもありません。人間の強い欲望が引き起こす症状であり死んだ人は怪物には変わりません。 欲望が発現して増幅されると怪物に変わり、怪物になった後は、自分の欲望を満たす目的だけのために行動します。前兆症状は鼻血と頻繁な幻聴、満たされない飢え、そして頻繁な気絶…。 ゾンビのような点なら感染が転移するというぐらいです。 症状に感染すると腫瘍が出来て幻聴を起こし夢でも幻覚として登場し欲望をそそります。 感染しても欲望が増えないと怪物に変わらないという点もゾンビとは違います。精神力が優れていたり欲望を抑制できた登場人物は怪物には変わりません。 『Sweet Home -俺と世界の絶望-』には数多くの怪物*が登場します。 数多くの怪物が登場しますが、一般化した特徴があります。 • 持っていた欲望の形で怪物化する。 • すべての怪物は基本的に人間を食べる習性を持っている。 • すべての人が怪物になるのではない。怪物化に免疫のある人たちが存在する。 • 怪物化した人間は首を切り落としても死なない。燃やしたり再生できないほど滅茶苦茶にしてこそ死ぬ。火と電気に弱い。 • 人間である時の声とは違うが話をして人の言うことも聞き取る。 • 怪物にさせた欲望を刺激すると極度に興奮する。 • 半径50メートル以内の無線電波を遮断する。このような特性のため携帯電話は怪物探知機として使うことができる。 • 身体の再生能力に優れ傷も一瞬で回復する。 • 怪物も苦痛を感じ恐怖心も持っている。 • 怪物の血は黒色だ。 • よほどのことでは自分の活動領域を出ない。 まず腫瘍が現れます。 怪物に変わる前の人は腫瘍を幻聴と考えるようになります。内面が秘めていた欲望をあおる正体不明の声。この声にだまされると怪物に変わり始めます。身体部位が非常に奇形的に変わり身体能力も変わります。 感染初期は人間と怪物の両方の状態を行ったり来たりしますが、この時期がゴールデンタイムです。ゴールデンタイム状態の人間は簡単に殺せゴールデンタイムの時期に怪物に深刻なダメージを与えると完全に怪物に変わった後も回復できません。 ゴールデンタイム状態で優れた精神力で欲望を制御し怪物に変身せず代わりに怪物状態の力を発揮する人間がたまにいますが、このような存在を「半怪物」と呼んでいます。 欲望が強烈なら怪物に変わった後も進化を繰り返します。 ある怪物は繭となり人間の姿に新しく誕生したりもします。最初は半透明な膜で囲まれていますが、膜が大きくなって稠密になるにつれてその膜が繭になります。繭から出てきた人間は「超人」、あるいは「新人類」と呼ばれます。苦痛も笑いも恐怖も感じられず虚無感だけを持つ存在です。 このような存在を作家が超人と命名したのではありません。読者たちがつけてくれた名前です。「超人」という言葉が由来するウェブ漫画の読者のコメントを紹介します。 「ニーチェの超人思想に基づいた作品だと思います。作家さんは「不完全で弱い人間が強くて完全な超人に目覚めるためには、まず生涯抑圧してきた影の自我(内面の悪魔)に向き合い、完全に受け止めて乗り越える必要がある」というメッセージを伝えようとしているのではないかと推測します。個人的な作品解釈を付言すると怪物は、各自のコンプレックスを克服した後、超人になることを強く希望し卵の中で忍耐の時間を過ごすことになります。その困難な過程を通じて誕生した超人を軟弱で情けない人間が殺してしまったのだから、怪物たちの立場では腹が立つのも当然です。 |