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[筆洞情談] 進化するサイバーテロ


  • [筆洞情談] 進化するサイバーテロ
2013年3月20日午後2時10分頃、KBS、MBC、YTNなど3つの放送局のコンピュータが一斉に動作を停止した。同じころ、新韓銀行、NH農協銀行、済州銀行の電算が麻痺し、すべての取引が中断された。約2時間の間、インターネットバンキングなどが麻痺したことによる衝撃は相当だった。マルウェアの流入が原因だったが、誰の仕業なのかの追究に政府は右往左往した。中国のインターネット網を介しての流入説、ハッカー集団説など、様々な説が浮上していたが、20日が過ぎて、政府は北朝鮮の偵察総局の仕業だと結論を下した。

大韓民国を麻痺させたこの事件から3年ぶりに北朝鮮のサイバーテロが起きた。今回は、政府の外交安保関係者のスマートフォンにマルウェアを感染させ、インターネットバンキングの決済時に使用するセキュリティソフトウェアの製造会社の電算網に侵入し、電子証明書を抜き取った。また、ゾンビPC7万台を作って鉄道交通管制システムの破壊を狙うなど、大々的なサイバーテロを準備していたことが把握された。

「核実験後のサイバーテロ」は、北朝鮮の典型的な挑発手順となっている。 2009年、2回目の核実験後に7・7DDoS攻撃を、2013年、3回目の核実験後に放送局や銀行電算網を打撃した3・20挑発を敢行した。 4回目の核実験後、超強力な国連の対北制裁案が通過すると、政府要人のハッキングに出たのだ。2014年にも、北朝鮮ハッカーの仕業と推定されている韓国水力原子力へのハッキング事件が起きた。事件が発生すると徹底対応を叫ぶが、その時だけだ。ハッカーの腕前は、LTE級に進化するため後の祭りであり、また被害を被るということだ。

『2016デロイトアジア・太平洋諸国セキュリティの展望レポート(2016 Deloitte Asia-Pacific Defense Outlook)』によると、アジア・太平洋18カ国のうちサイバー攻撃に最も億弱な国は韓国と調査された。世界がインターネットで接続された状況下で、金融電算網や交通・物流インフラなど社会基盤施設に穴が空くということは、ミサイル攻撃に劣らず国民を混乱に陥れる。

金融当局は、事件発生後、金融会社の電算システムを緊急点検するなど大騒ぎをしたが、常時対応システムを備えていなければ話にならない。韓国サイバーテロ対応システムは、国家情報院、警察庁、韓国インターネット振興院をはじめ、アンラボ、ハウリなどの民間企業に依存している。サイバー攻撃を事前に遮断するために国際協力はもちろん、マイクロソフト、シスコなど技術力に優れたグローバル民間セキュリティ会社との協力も強化しなければならない。それが北朝鮮のハッカーの遊び場に転落しない道だ。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-03-10 20:33:11




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