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コラム > オピニオン > [コラム] 韓半島に戦争の暗雲は立ち込めているのか
今朝の朝刊には、恐怖の6大戦略兵器がアメリカから韓半島(朝鮮半島)に向かっていると、B52戦略爆撃機などの写真が冒頭に掲載されていました。韓国の国防長官と国家安全保障室長などが北朝鮮のテロ対象リストに入っているというニュースも大々的に載りました。
「地下鉄やショッピングモールなど、複数の利用施設と電力、交通などのインフラが攻撃を受ける可能性がある」という与党議員の主張を伝えるニュースも続きます。韓半島が一触即発の状況に突き進むような気がして、すっきりしない気持ちで1日をスタートしました。
そして午後にパソコンをつけたら、投資家であれば必ず見なければならない10大ニュースというタイトルが見えました。
思わずクリックをしたところ、最初のニュースがムーアの法則の終焉、半導体パラダイムが変わったというニュースでした。ニューヨーク証券取引所の状況や化粧品メーカーより自動車や化学精油の方へ投資家の関心が集まっている。サムスン電子が早ければ3月中に10ナノ台のDRAMの量産に入る、子どもファンドの30%が金融当局の整理対象になった、韓国政府がスポーツ産業を50兆ウォン台の市場に育てるという内容が続いています。
少なくともこの経済新聞のトップニュースには、戦争の危機や恐怖が入り込む隙はないようです。気になったので、ついでに株式市況を除いて見ました。
2016年2月19日14時33分現在、KOSPI指数は1912.72。1日前より0.2%上昇したので、悪くありません。政府が開城工業団地の閉鎖を発表した後、1835.28まで下がったことを勘案すれば、かなり回復しました。
株式投資家の目には、戦争の脅威などは入ってこないようです。そういえば新聞やテレビが伝えるニュースに少し怪訝な点があったりもします。
空母と原子力潜水艦、ステルス爆撃機にテロで応答する。北朝鮮に全面戦争をするつもりがないか、あるいは能力が不足して、ようやく作り出した対応手段がテロだというニュアンスも漂います。すぐに北朝鮮が休戦ラインを挑発する心配なないと感じさせるのです。
北朝鮮が拉致とテロを繰り広げる工作員をソウルに潜入させて成功を収めるなら、韓半島の状況が本当に破局の局面に向かうでしょうが、今のところは心配する必要はないでしょう。
朴槿惠(パク・クネ)大統領が国会演説で「北政権を変化させる」と北朝鮮の体制崩壊まで言及しましたが、戦争まで辞さないと感じた韓国人はほとんどいません。大統領が北朝鮮を先制攻撃すると決意しても、韓国民がそこまで容認することはないでしょう。
だから株式市場では戦争の心配もなく取引がされているようです。韓半島に戦争の暗雲が立ち込めているのか気になりますか。これは通過性の雲です。
このように通り過ぎる雲であっても、サード(THAAD)を開発したロッキード・マーチンをはじめとする軍需工場の人々は明るく笑うことができるのでしょう。ロッキード・マーチンのホームページに「私たちは、より良い未来を設計している(We're engineering a better tomorrow)と書かれていますが、韓半島の暗雲が彼らの将来のバロメーターのような印象を拭い去ることができません。