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[世智園] 造船業8兆ウォン損失とCEOの行動偏向


  • [世智園] 造船業8兆ウォン損失とCEOの行動偏向
韓国の大宇造船海洋と現代重工業、サムスン重工業の3大造船会社が1年の間に8兆ウォンの損失を出した。設計や原価、工期計算に対する十分な能力もないまま、海洋プラント事業に参入たからだ。この損失を埋めて造船業を生かす方法を探す韓国政府は、頭が痛い。多くの人が訝しがっている部分がある。最高経営責任者(CEO)は、なぜ十分な能力もないのに、海洋プラント事業を開始したのかという部分だ。商船受注が急減する状況で、何かしなくてはいけないという切迫感があったからだという。

だからといって能力もなく、何兆ウォンの損失が出る可能性がある危険なビジネスを展開したのは、飛んで火にいる夏の虫のようなものだ。

しかし、人間は多くの場合そのようなとんでもない意思決定をする。じっとしているのが良い状況であるにもかかわらず、何かをしなければならないという圧力を受ける。じっとしていると「無能力者」になったような感じを受ける。だから、最終的に誤った「行動」を犯してしまう。これについて心理学では、「行動偏向」という。

サッカーの試合のペナルティは、行動偏向の代表的な例だ。心理学者がPK戦の事例を分析してみると、キッカーが左に蹴る割合が31.3%、真ん中が28.7%、右が31.3%だった。しかし、ゴールキーパーが真ん中に立っている割合はわずか6.3%だった。93.7%が左または右にジャンプした。じっとしていてゴールを入れられると、自らも馬鹿みたいだし、他人の非難を受けるか心配になるからだ。

造船会社のCEOも同じだったと見ることができる。受注が急減している状況で、じっとしていれば他人から「CEOが何をしているのか」という圧迫を受けたことだろう。その結果、じっとしているよりも下手な海洋プラントに飛び込む悪手を打ってしまった。

国の存亡がかかった状態だからと例外ではない。日本の真珠湾空襲がそのような例だ。当時、日本は米国の海上封鎖のせいで石油の輸入がストップしていた。日本はこのような状況に耐えられなかった。じっといるより何かをしなければならないという圧力に陥った。それでアメリカを相手に、負けることが明らかな戦争を開始する最悪の選択をした。

哲学者パスカルは「人間の不幸は、彼らが部屋の中に静かにとどまっていないことにある」と述べた。時にはじっとしていることが、最善の時がある。
  • 毎日経済 キム・インス論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-08-10 17:43:50




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