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[モノの哲学] コンパクトディスク-魅惑とは何か


  • [モノの哲学] コンパクトディスク-魅惑とは何か
CD(コンパクトディスク)というモノはとても不思議だ。銀色で光る。丸い。詩的で簡易だ。形そのものがとても瞑想的で明瞭なモノだ。構造や動作原理を詳細に見ると、さらに詩的だ。まるで葉を顕微鏡で覗くように。

CDは光を利用してデジタル上表を保存する媒体だ。プラスチックの原版の上に銀やアルミニウム膜が薄くコーティングされており、細かなくぼみ(ピット)が削られている。平らな部分をランドと呼び、くぼみの部分をピットと呼ぶ。レーザーでCDの表面にくぼみを作り情報を記録し、保存された情報はくぼみが刻まれた表面にレーザーを当てて読み出す。この際レーザーがくぼみの形態によって違う強さで販社する原理を利用する。

くぼみと針構造の技術的進歩を代表するもので、実際にディスクに触れることは何もないその原理とよく似ており、CDは何も話さない。CDの表面は沈黙だ。代表的なモノは音楽CD。MP3ファイルで聴くことが大勢となったが、今もアルバムコーナーにはCDを選ぶ人が多い。

包装からCDを取り出してプレイヤーに入れる前までの緊張感。私もまた五本の指に入る新鮮さでありときめきだ。

何もいわないCDを私たちは選ぶ。いくら以前の情報があるといっても、今回のモノは別のモノだ。知らないのに選ぶ。知らずに選ぶ。ここで一歩先をいけば知らないから選ぶ。魅惑はそんなところだ。知らないモノの中に内在されたモノと触れること。

それだけだろうか?魅惑は前衛的なモノ。知っていることを一気に崩す知らぬということだから。知っていることに打ち勝つ真っ黒さというもの。知らぬことを押していくことだから。

話すことができないことがある。しかしそれらは表している。それが神秘的なのだ。魅惑はその歩みほどに峡谷を持っている。必ずや音楽を聞かなくても私がCDを頻繁に取り出す理由だ。
  • 毎日経済_ハム・ドンギュン文学評論家 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-08-14 18:56:44




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