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[コラム] 愛国心?サムスンが合併しなければ損だと言うが


  • [コラム] 愛国心?サムスンが合併しなければ損だと言うが
△写真=サムスン物産は、韓国の全国に100以上ある新聞社と8つの証券放送局、4つの総合編成放送局、2つの報道局、ネイバー、ダウムなどのポータルサイトに株式を委任してほしいと、愛国心に訴える広告を出した。

7月17日、サムスン物産と第一毛織の合併株主総会を控えて、票集め戦争が繰り広げられている。

まるで、一人の有権者の心でも捕まえようとしているかのように、町内を駆け巡る立候補者のように、サムスンと投機資本のエリオットが株主の歓心を買おうと努力している。

サムスン物産は、広告を介して国民に訴える作戦を繰り広げている。サムスン物産と第一毛織を合併して、グローバル超一流企業に生ま変わろうとしているのに、エリオットが失敗に終わらせようとしているという内容だ。株主が助けてくれれば、合併して企業価値と株主価値を高めるために最善を尽くすという約束も付け加える。

しかし、知っているひとは皆知っている。サムスン物産と第一毛織の合併は、企業価値を高めることではなく、イ・ジェヨンサムスン電子副会長の後継構図を整える目的であるという事実を。

サムスンの経営権を引き継ぐイ・ジェヨン副会長は、サムスングループの主力企業であるサムスン電子の株式をわずか0.57%だけ持っている。14日現在、サムスン電子の時価総額が180兆ウォンに達するため、1%を買い入れようにも1兆8000億ウォンがいる。このため、サムスンは苦心の末、サムスン電子の株式を多く保有しているサムスン物産と第一毛織を合併して、事実上の持株会社にするという戦略を用意した。

イ・ジェヨン副会長は第一毛織の大株主で、16.4%の株式を持っているため、合併により、サムスン電子の支配権も生じる。このような事実を天下が知ってはいるものの、表面的には「超一流企業に生まれ変わるために」という名分を掲げる。

エリオットの行動も同じようなものだ。エリオットは韓国内の世論が不利になる状況を認識したためなのか、イ・ジェヨン副会長の経営承継の必要性を認める。「ただし、継承過程が公正かつ他の株主の利益を損なわないようにするべきだ」と合併反対に乗り出した理由を説明する。

サムスン物産と第一毛織の合併について、米国のウォールストリートはエリオットの味方だ。外国世論もサムスンに対して冷たい。ロイターは「卑劣な株式取引」、「とんでもない安値」という過酷な表現を躊躇しないほどだ。

エリオットのこのようなハゲタカファンドが割り込む口実はサムスン自らが作ったものだ。ハゲタカが腐った死体に飛んでくるように、ハエがゴミの山をあさるように、サムスンの無謀な継承作業が投機資本を呼び入れた。

巷では、サムスン物産と第一毛織の合併が実現すれば、エリオットのその後の歩みはISD(投資が国家賠償)に向かうことは明らかだと予測している。韓米FTAのISD条項は韓国に不利になっていて、エリオットが勝訴する可能​​性が高いという分析も出ている。さらに、韓国政府の影響がある程度は作用していると見るべき国民年金公団は、サムスン側につくという方針が早目に発表された状態であるため、ISDで韓国政府が守勢に追い込まれる可能性が大きいという意見も出ている。本当にこのような予測通り、エリオットがISDに提起して勝訴すれば、合併による利点はイ・ジェヨン副会長が得て、韓国民の税金でISDに賠償しなくてはいけないという状況がもたらされるかもしれない。

エリオットはISDへの提起説について、007の映画にも出てくるような陰謀説だと反発する。エリオットのポール・シンガー会長は、2002年のワールドカップ当時、赤い悪魔の服(韓国の応援ユニフォーム)を着て韓国を応援するほどの親韓派だと証拠写真も出した。

そうなのかもしれない。しかし、一言でいって笑わせる話だ。ハゲタカファンドの属性上、エリオットの目的は多くのお金を稼ぐことにある。合併反対も、自分の利益を最大化するためにあるだけだ。

韓国人、正確に言うとサムスン物産株を持っている韓国株主は経営承継のための卑劣な戦略を立てたサムスンと大金を稼ごうと頭を使うエリオットのうち、一方を支持しなくてはいけない選択の岐路に立っている。

今まで、韓国の経済が脅威に直面したとき、韓国人は愛国心を発揮してきた。1907年には、日本から導入した借款を返済して主権を回復するために国債報償運動を繰り広げ、1997年の通貨危機当時には外債を返済するために、金を集める運動に全国民が参加した。

350万人が参加した金集め運動を通じて約227トンを集めて世界を感動させた。サムスンは、このような愛国心が合併株主総会で再発動することを望んでいる。その行為は憎いが、どうしようもないとサムスンをかばいたくても、サムスン物産の株式がない場合は愛国心を発揮する機会はない。

愛国心を発揮するには、1株当り7万ウォンほどになるサムスン物産の株を買うためのお金があってこそ可能だ。

おそらく株主は愛国心ではなく、合併による自分たちの利害得失を計算していることだろう。合併が失敗に終わる場合、損害はそのまま小口株主に返ってくるという証券会社のレポートが刻々と発表されているため、少数株主は愛国心の前に自己の財産を守ろうとサムスン側につく可能性が高い。

選挙シーズンにのみ瞬間的に有権者にひざまずき国民の怨みを買う政治家の行為をサムスンには真似しないでほしいと思う。サムスン電子の外国人の持分が52%に達する状況だから、ヘッジファンドの攻撃がいつまた起こるかわからない。サムスンが国民の応援を望むならば、今からでも正道経営に取り組まなければならない。
  • O2CNI_Lim, Chul/写真=ダウム画面キャプチャ
  • 入力 2015-07-15 08:00:00




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