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[SNSの世界] 「不細工顔を作る」セルカブーム


  • [SNSの世界] 「不細工顔を作る」セルカブーム
誰が見ても不細工に見せかけた顔だ。面白おかしい表情を作って撮っては、手で画面を隠す。手をどかすと、魔法のように「ジャーン」と不細工な変装をしていない美しい顔が登場する。

最近、米国のツイッター・インスタグラムなどのSNSで流行している「外見で判断しないで(Don't Judge challenge)」という名前のセルカ(自撮り)遊びだ。

眉毛を一の字につなげたり、歯を黒くするなど、私たちから見ても有名なコメディアンの変装をした姿とそっくりだ。グーグルの動画で「Don't Judge challenge」で検索すると、730万件以上のセルカで撮影された「不細工な顔」の動画が出て来る。今月に入って突然SNSで拡散しているものだが、誰がなぜこのような遊びを始めたのか、きっかけは明らかになっていない。ただし、類推はすることができる。

アメリカのエム・フォード(Em Ford)という有名なブロガーが、化粧をする前のすっぴん写真をSNSに公開した。所々にニキビのある顔だが、「気持ち悪い」「一生で一度も顔を洗わなかったのか」などの侮辱するコメントがほとんどだった。その後、ニキビを隠して可愛く化粧した顔を投稿したところ、「魅力的だ」「本当に美しい」などの称賛するコメントが溢れた。フォードはこの過程を動画にして去る1日にユーチューブに投稿した。動画の最後に「あなたは美しい。他の人が勝手にあなたの外見を評価することとを放置しないで」という激励のコメントを入れた。この動画は公開されてから1週間で1000万回以上再生され、大きな関心を集めた。「外見で判断するな(Don't judge a book by it's cover)」という昔の教訓を身をもって見せてくれた動画にネットユーザーは「感動的」だという反応を見せた。

しかし、この後、SNSでは、これをひねった正反対の意味の遊びに変質している。

セルカ動画ではニキビ、歯科矯正、分厚いメガネ、ぼさぼさの頭など、わざと顔を大げさに変装している。セルカを撮る当事者たちはフォードの趣旨に共感すると言い、「外見で判断するな」という言葉は発している。しかし、肝心な彼らの変装はアメリカの映画でよく見かける典型的な「学校のいじめられっ子」の身体的な特徴を皮肉っているのだ。

ところが、米国でこのような騒ぎが起きているなかで、韓国人の女性がユーチューブに投稿した一つの動画が一緒に注目されている。濃い化粧をした若い女性が顔の半分の化粧を落としていくものだ。結局、顔の半分だけ素顔が表れたのだが、化粧を落とす前とは全く違う姿だった。ネットユーザーたちは「これは詐欺だ」「濃い化粧を法で禁止しなくてはいけない」などの激しい反応を見せている。

利用できるモバイルデータの容量が増えて、通信速度が速くなりながら、SNSもテキストから動画へと時代が移っている。SNSがテキスト中心だったときは、匿名の悪質なコメントが大きな社会的問題だった。匿名という遮断膜に隠れて、特定の人を傷つけたり、非難をしながら満足感を得る変態たちだ。

これから、SNSが動画中心になれば、また別の社会的問題が登場するかもしれない。「外見絶対主義」傾向の強い、成功した人たちだけがSNSにあふれ、そうではない人たちのSNS活動は萎縮するかもしれない。

このようなSNSに他人の外見に対する非難が溢れている状況では、充分にその可能性がある。幸いなことにアメリカでは「不細工セルカ遊び」は馬鹿たちがすることだとして自浄する動きが大きくなっている。情報技術がいくら発達しても、それを活用する人の人格がこれについていけないのなら、何も残らないだろう。
  • 毎日経済 ソ・チャンドン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-07-10 16:08:51




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