トップ > コラム > オピニオン > [世智園] 9ドルのパソコン

[世智園] 9ドルのパソコン


  • [世智園] 9ドルのパソコン
コンピュータの価格が9ドルだとしたら、信じられるだろうか。しかし、そんなコンピュータが出てきた。米国のスタートアップ「ネクスト・シング(Next Thing)」が開発した「チップ(CHIP)」という名前のコンピュータは、価格が正確に9ドルだ。

チップは、一般大衆から少しずつ投資資金を集めるクラウドファンディング(crowd funding)サイトの「キックスターター(Kickstarter)」で、先月8日からの資金募集を始め、これまでなんと3万5338人から186万ドルをファンディングを受けることに成功した。当初の目標だった5万ドルの372倍の規模だ。9ドルを出せば、チップ1個を、19ドルを出せば、チップとバッテリを与えるという方式で開始したファンディングが、このように大きな関心を受けるとは、誰も予測できなかった。

チップは、横2.3インチ、縦1.5インチと超小型だ。モニターもキーボードもない。だからと言って無視してはいけない。中古テレビをはじめ、どんなスクリーンであれ、ケーブルで接続すれば、モニターとして使うことができる。Wi-FiとBluetooth機能が搭載されており、キーボードやマウスをワイヤレスで接続することができる。

インターネットやビデオゲーム、文書・スプレッドシートの作成など、パソコンで行っていた作業がほとんど可能だ。写真の編集、CADなど、1000以上の有用な無料のアプリケーションもインストールされている。1ギガヘルツ(GHz)のプロセッサと512MBのメモリ(RAM)、4ギガバイト(GB)のストレージ容量を備えている。

チップは、米国でスタートアップがいかにして驚くべき革新を続けることができるのかを示してくれる事例だ。ネクスト・シングのように、米国ではスタートアップがアイデアと技術があれば、キックスターターのようなクラウドファンディングを通じて、いくらでも資金を集めることができる。さらに、ネクスト・シングは、マーケティングに一銭も使わず、4万個が超える製品の購入者まで確保した。

一方、韓国の現実はまだみすぼらしい。米国のようにクラウドファンディングを活性化させるためのクラウドファンディング法が2013年6月に発議されたが、まだ国会で昼寝をしているだけだ。韓国だったら、9ドルのコンピュータが、果たして日の目を見ることができるだろうか。「9ドルが可能なのか。もしかしたら嘘じゃないのか」という疑いを受けながら既存のパソコン業界の継続的な牽制により崩れそうだ。いつごろになったら韓国も「スタートアップに友好的な国」という評価を受けることができるか。もどかしいばかりだ。
  • 毎日経済_キム・インス論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-06-01 17:20:09




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア