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コラム > オピニオン > 【韓国コラム】MeToo運動に足を引っ張られた進歩勢力
IQ75の境界知能を持ったフォレスト・ガンプにとって女性は小学校の登校初日にスクールバスの隣の席に座らせてくれたジェニーだけだ。子どもたちにいじめられるフォレストにジェニーが叫んだ一言が彼の人生を決定付ける。
「Run! Forrest! Run!」
疲れを知らずに走る生まれつきの才能でアメリカンフットボールの選手になりベトナム戦争で戦友を助けながら名誉勲章まで受けるようになる。ワシントンのある集会に突然、呼ばれて演説をする途中、夢に描いたジェニーと再会することになったので勲章が価値を発揮した。
ジェニーと仲良く過ごす時間はベトナム戦争の反対運動をしていたヒッピーがジェニーを暴行する場面で終わる。純真無垢で一人ぼっちのフォレストが暴行場面を見て目がくらみジェニーを殴ったヒッピーを襲ったからだ。(以上、1994年公開の映画『フォレスト・ガンプ』)
2022年、韓国で演出された状況はワシントンの水辺とかなり似ていた。韓国の進歩勢力がMeToo運動に足を引っ張られてしまったのだ。
韓国のMeToo運動はムン・ジェイン政府が発足して力を得た。ムン・ジェイン大統領が公式に支持意思まで明らかにした。
原論的にMeToo運動は性暴力加害者や被害者を性別で分けないが、韓国のMeToo運動はフェミニズム運動の1つとして作用した。
2018年に男性ヌードモデルの盗撮が流出し笑いの種になる性犯罪が発生したが、男性嫌悪団体は沈黙するか、むしろ加害者を擁護しようとした。
男女間の性別葛藤が激化し現政権が女性優位の政策を取っていると考えた若い男性は進歩勢力に背を向けるようになった。
事態はここで終わらなかった。保守勢力の中にはMeToo運動で失墜したり落馬した人もいたが、進歩勢力は大統領選挙を争った有力者を失ってしまった。
ノ・ムヒョンの左腕と呼ばれたアン・ヒジョン忠清南道(チュンチョンナムド)知事が随行秘書への性的暴力事件で3年6か月の実刑を受け落馬し、パク・ウォンスンソウル市長も女性秘書へのセクハラ事件に巻き込まれて自殺してしまった。パク・ウォンスン市長のセクハラ事件は韓国の進歩勢力に致命的な打撃を与えた。
特にパク・ウォンスン市長は1993年、ソウル大学自然学部化学科助手のウ・ヒジョンさんのセクハラ事件を引き受けた弁護人だったという点で「ネロナムブル(自分がすればロマンス、他人がすれば不倫)」の典型とまで考えられ進歩勢力は回復できない傷を負ってしまった。
歴代選挙で進歩勢力に最も多くの票を投じた10~30代の男性が背を向け有力な大統領候補を失う結果となった。