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BIGBANGとYGエンタ、「変奏」に対する脅迫もしくはマンネリ


  • BIGBANGとYGエンタ、「変奏」に対する脅迫もしくはマンネリ
去る5月1日に発表されたBIGBANGの新プロジェクトシングル『M』は素晴らしかった。簡単であるが、胸の奥にしみこむ『LOOSER』メロディのリフレイン。前半に渡って流れる敗北主義と自己恥辱感に込められた歌詞の組み合わせが絶品だった。『BAE BAE』は楽器ソースとサンプルひとつひとつが言葉がでないほど噛み合った中で正反対の雰囲気のバース(Verse)とサビが劇的に交差した。性的なメタファーを分散させた歌詞などは、まさに聞いた瞬間「血が逆流する」しかない作品だった。

これまで完全体のBIGBANGとして発表した結果物がG-DRAGONとSOLのソロ曲に及ぶことができなかった状況であったため、『M』の成果はより感激だった。けれどぴったり1ヶ月後に発表された『A』はもう少し冷静に見る必要があるようだ。首をかしげる部分がいくつかあるからだ。

近年G-DRAGONを中心に発表されたYGエンターテイメント(以下、YG)の結果物から目立つものは「変奏」だ。主にバースとサビからリズムパートと旋律、もしくはジャンル的に急激な変化を与えるといった風だ。そんな方式の変奏が積極的に使用されたのはDubstepジャンルが台頭しはじめてからだ。そしてこれは上手く使いさえすれば、劇的にインスピレーションを盛り上げるために非常に効果的だ。

YGの一部プロデューサーたちもやはりこのような点をよく把握しているという考えだ。G-DRAGONとSOLのヒップホッププロジェクトだった『Good Boy』の例を見てみよう。EMDスタイルの導入部から少しずつテンポを速めて好調させ、G-DRAGONのラップ(「I am a good boy~」)が始まる部分からテンポがぐっと狭まり、ヒップホップスタイルに変身する部分、同じくSOLのボーカルが終わって再びラップ部分が登場する部分などが代表的だ。

実際に、リズムと旋律が変化する順序やスタイル的な細やかな部分が少し違うだけ、『クレヨン』、『世界を揺らせ』、『Good Boy』、『BAE BAE』にいたるまで変奏はYG印の音楽にて一種のパターンのように感じられる。そして『Good Boy』と『BAE BAE』は彼らの変奏作法がしっかりと輝きを発した曲と言える。

『BAE BAE』の変奏スタイルからはダイナミックで劇的な構成を図ったことに加えて、もうひとつキャッチすることができる部分がある。バースからは最大限ジャンル的特性に忠実になり、サビから商業的な部分を極大化させる構成だ。

アメリカのメインストリームヒップホップサウンドに寄り添ったバースに続き、大衆にフレンドリーなメロディラインのサビを重ねたもの。実際にこれは近年のアイドルK-POPから頻繁に聞くことができる作法のひとつだ(EXIDの『UP & DOWN』が良い例)。何か音楽的に、それなりに見せながらも露骨に大衆の好みを狙うためだ。

このような試みを敢行したK-POPの大部分は、とても作為的な匂いの強い音楽的に不足した点が多かった。BIGBANGの『BAE BAE』はこれをとても自然に、驚くほど混ぜ合わせた。プロデュースの絶妙さを体感することができた。このようにBIGBNAGの音楽は感覚的な構成とレベルの高い変奏を通じて快感と喜びを披露してきた。

しかし、今回の『A』のタイトル曲『BANG BANG BANG』はいくつかの残念な部分を残した。平凡なダンスポップのクリシェに閉じ込められて以前よりも一歩以上後退した構成と陳腐なメロディラインが弱点だ。何よりも致命的なことは変奏だ。

始まりと同時に疾走する今回の曲は、ラップにつづくサビが登場した瞬間にレイドバック(Laid-Back)したトラップビートで転換(『クレヨン』と反対の場合といえる)されるが、まず以前のような絶妙さではない、作為的な雰囲気が強い。そのため以前の多い変奏がオーバーラップして疲労感まで襲う。

ここまでくるとYGが変奏に対する脅迫があったり、マンネリに陥ったのではないかという考えが浮かぶほどだ。さらには同じく収録された『We Like 2 Party』さえもアメリカのボーイバンドたちの音楽で頻繁に接することができるポップロックの典型的な構成とボーカルアレンジから抜け出せずにいる。

前作『M』との比較からくる残念な部分が大きかった。

BIGBANGの長所と個性がまったく打ち出されていない今回のシングルは、明らかに期待以下でああるが、だからといってとても深刻に心配する必要はない。あるミュージシャンがいつも新鮮なインスピレーションを与えたり高い完成度を誇る結果物がでることは難しい。ただ、これからはYGとBIGBANGが変奏に対する執着から少し自由にならないといけないのではないかと考える。
  • スタートゥデイ=寄稿カン・イルグォン音楽評論家
  • 入力 2015-06-05 11:18:23




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