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エンタメ > TV・映画 > 「風船ガム」マニア層を形成したシナリオ…視聴率が全てではない
ドラマの完成度と面白さが常に視聴率と比例するわけではない。
tvN月火ドラマ『風船ガム』も視聴率の成績は低かったが、マニア層を形成して、好評のうちに幕を下ろした。
『風船ガム』は、幼い頃から家族のように過ごしていた男友達(ボーイフレンドではない)と女友達の天真爛漫なロマンスを感性的に描いた作品だ。
決して刺激的ではない、穏やかな日常の中で、主人公たちの愛と人生を描き出して、視聴者たちのロマンと恋愛感性を同時に呼び起こした。
特にイ・ドンウクとチョン・リョウォンは、劇中「男友達」のパク・フィファンと「女友達」のキム・ヘンア役を演じ、「天真爛漫なロマンロマンス」を実感できるように表現した。
2人は幼年期を一緒に過ごした「親しい」仲の純粋で心地よい感情を引っ張っていくと同時に、最初の一歩を踏み出そうとする「恋人」の甘さで視聴者たちもときめかせた。
さらにイ・ドンウクとチョン・リョウォンは「ツンデレ漢方お世話」、「横断歩道ダブルキス」と「路上デート」、「海岸ロマンチックデート」、「一緒にいようと手を握る」など、数多くの名場面を誕生させて「ロコ(ロマンチックコメディ)のケミ(相性)」をしっかりと見せてくれた。
また、各キャラクターの繊細な感情を心の琴戦に触れるように表現した感性溢れるせりふと暖かいながらも洗練された演出の感覚まで、これまでのドラマでは見ることができなかったものを見せてくれた。
まず、イ・ドンウクのナレーションは「女友達」チョン・リョウォンへの特別な感情を悟っていく「男友達」の心的変化を表現して話題を集めた。
加えて「元カレ」に別れを宣言した女性の心を率直ながらも悲しく表現したチョン・リョウォンの語録もやはり熱い好評を博した。
イ・ミナ作家の繊細さと新鮮さが生きている名せりふが視聴者の心を貫通しただけでなく、毎回主人公たちの感情線とぴったり合致するキム・ビョンスPDのセンスが引き立つ演出もドラマへの感情移入を助けた。
かと思うと、ネットユーザーたちの間では『風船ガム』はバックグラウンドミュージックも好演をしたという評価が続いた。
音楽は、ドラマの中の状況や雰囲気を生かしながらも、視聴者が感性に浸れるようにした。
特に主人公の心情を代弁するような旋律が魅力的な歌手ラセ・リンド(Lasse Lindh)の『Because I』は、初放送から好評を得た。
続いて歌手アレックスの『君に向かう僕の時間』もイ・ドンウクとチョン・リョウォンのキスシーンで挿入されて、ドラマのときめきを倍加させた。
5話では、チョン・リョウォンが自分の家でイ・ドンウクの痕跡を発見した後、イ・ドンウクの存在感を改めて悟ることになる場面で、シン・ヘチョルの『日常への招待』が流れた。
このような音楽は、不器用でも素直に、ゆっくりと近づいていくリファンとヘンアのアナログ式の愛情表現にロマンを加えた。
このように、ラジオ『音楽都市』のメインライターであり、ベストセラー『その男、その女』の著者であるイ・ミナ作家は、音楽の選曲にも繊細さを傾け、ここにシナリオの温かい感情を生かすためのキム・ビョンスPDの演出力が加わった。
視聴率がすべてを代弁することはできない。
視聴率に勝った『風船ガム』は、このように視聴者の記憶の中に長く残ると思われる。