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「逆鱗」叙事よりも映像美で勝負した新概念時代劇

レビュー:ヒョンビン主演の史劇映画「逆鱗」/正祖の寝殿に刺客が侵入した「丁酉逆変」の24時間描く/チョ・ジェヒョン、チョン・ジェヨン、チョ・ジョンソクなど華麗なキャスティング...30日に公開 

  • 「逆鱗」叙事よりも映像美で勝負した新概念時代劇
朝鮮の改革君主、正祖(チョンヂョ)と韓流スターのヒョンビンの出会いで期待を集めた映画「逆鱗」が来る30日、いよいよベールを脱ぐ。去る22日、封切りに先立ってマスコミ試写会で確認した「逆鱗」は、新しい文法で描かれた時代劇だった。時代劇の強みである叙事を減らす代わりに、洗練された映像美に力を注いだ。耳に突き刺さるセリフは無いが、強烈な残像を残す場面はいくつもある。正統史劇を踏襲していない「逆鱗」が、大衆の選択を得られるのかに関心が集まる。

1777年7月28日。朝鮮第22代王の正祖(ヒョンビン)の書庫であり寝殿である尊賢閣(チョニョンガク)に正体不明の刺客が忍び込む。いったいその暗殺者は誰であり、まず何が起きたのだろうか。映画は朝鮮の歴史上もっとも致命的な暗殺の試みとして評価される「丁酉逆変」を物語る。

映画に盛られる時間の範囲はきっちり1日だけ。寸刻によって変わる人物たちの心理変化が、スリラーものに遜色のない緊迫感にあふれて展開される。暗殺の脅威に悩まされる正祖を静かに輔弼する尚冊(サンチェク=チョン・ジェヨン役)の秘密、正祖暗殺に加担するしかない請負殺人者の殺手(サルス=チョ・ジョンソク役)の悲劇は、泰然さと不安感が交差する人物の表情から感知される。

王を殺そうとする勢力と生かそうとする勢力との間の緊張感は、ずば抜けた映像美を通じて明快に噴出する。ドラマ「茶母」や「ベートーベン・ウイルス」を演出したイ・ジェギュ監督は、特有の感覚的な画面で不吉な運命に見舞われた尊賢閣を再現した。

内人らがうち伏せて、白龍袍(ペンニョンポ)が空中に謹厳とかかげられているシーンは象徴的だ。祖父・英祖の喪中にある正祖は、赤い袞龍袍(コンニョンポ)ではなく白龍袍を纏わなければならなかった。白龍袍を収めたカメラの視線は、風前の灯火のような正祖の境遇の多層的なメッセージを語っている。

すべての人物の葛藤が最高潮に至る尊賢閣の戦いは息を止めさせる。正祖と殺手が互いの首を狙う1秒の瞬間。世界が止まったようなスローモーションと、ピストンのようにせわしく動く画面の調和は戦闘シーンの悲壮美を付与する。

  • 「逆鱗」叙事よりも映像美で勝負した新概念時代劇
軍除隊の復帰作として「逆鱗」を選択するほど正祖役に愛着が深いヒョン・ビンは、情け深く実直な君主を慎重に演技する。「小さいことにも全力を尽くし、一つずつ刈っていけば変わる」という地味なセリフは、彼の低音に載って重みを加えて迫ってくる。

そのほか、王の前で足をさっさと突き出す大胆な貞純皇后(ハン・ジミン)、孤児を集めて殺手に育て上げるクァンベク(チョ・ジェヒョン)など、他のキャラクターも正祖に負けず劣らず輝いている。

しかし、船頭の多い船の限界だろうか。多様なキャラクターの登場は、プロットを散漫にさせる弱点になりもする。数多い人物の事情を過去の回想シーンで解く単純さは物足りない部分だ。
  • 毎日経済_イ・ソンヒ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-04-23 17:11:31




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