A. | ユン・テホ作家の『ミセン-未生-』はタイトルとはまったく違う韓国漫画に大きな足跡を残した作品です。 『ミセン-未生-』(以下、『ミセン』)は良い漫画を探していた読者の渇望をしっかり解きほぐしてくれました。数多くのミセンたちが『ミセン』を読んで共感し、『ミセン』を読んで癒しを得たりもしました。 漫画の主人公はチャン・グレ。幼い頃に叔父から碁を学んだ後、韓国棋院の研究生となりますが入団に失敗し敗者となります。後援してくれた方の会社に入りますが適応できず、軍隊に行ってきます。そして検定試験を受けた後、後援者が斡旋してくれた総合商社ワンインターナショナルに就職します。 打ち出すほどの履歴が皆無であるため、インターンの座さえもコネということです。 棋士の生を諦めたため、これからは会社で必死に生き残らねばいけません。 漫画はチャン・グレが会社で生き残ろうと悩む過程、彼が選んだ一手、行動に移す一手と続いていきます。 シーズン2ではワンインターナショナルを退社し、独立して中小企業で仕事をするチャン・グレが登場します。職員のほとんどがチャン・グレと共にワンインターナショナルにいた人々です。 シーズン1が会社での基盤を磨こうとするミセンたちの話であるとすれば、シーズン2は会社そのものがミセンです。 熾烈な生存争いが起きる中小企業にて海千山千、空中戦まで起こすチャン・グレの奮闘が見所となります。 作家ユン・テホが出版社から作品オファーを受けた当時には、碁の達人が世界に投げかける話題、処世術といったコンセプトだったと言います。作品依頼を受けた作家が入念に考えてみたところ、碁の達人が世の中の人々に入れ知恵を挙げるようでもなく、自己開発書を書くことも本位ではなく、悩んだ末に碁と会社生活を結びつけて構成することになったそうです。 3年の悩みの末に執筆を開始しましたが、恐らく契約満了の時期が迫っていたようです。本人の言葉では契約金もすべて使っていたそうですね。 作家も最初は作品に対する確信がなかったようです。実際に序盤は少し散漫した感じもなくはありません。 作家は6話を終えたところで漫画をどのように描くか確信を持ったそうです。 出勤初日が暮れかかる。 いつもそうだったろう。 その日の対極を検討しながら…数多くの敗北に向き合わねばならなかった。 いつもそうだった。 勝ったときも負けたときも 僕は僕の幸福と悲しみを再び確認しなければいけなかった。 今日の碁を終える。(ウェブトゥーン6話) 評点9.8にのぼる人気を集めたおかげで映画とドラマ制作者たちは連載当時から目をつけていました。2013年ZE:Aメンバーのイム・シワンがチャン・グレ役を演じたモバイルムービーが公開され、2013年にtvNのドラマとして電波に乗りました。tvNドラマでもイム・シワンがチャン・グレ役をそのまま演じました。日本でもフジテレビにて放送されました。 |