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円安で輸出業者に納品する中小企業は悲鳴…実物生産も2カ月連続で減少

    • < 急冷する企業の景況感(企業景気実査指数)/ 2か月連続でマイナス成長した産業生産 >

    自動車部品メーカーである韓国タイヤは、この頃は非常態勢だ。第1四半期の売上高と営業利益が、前年比でそれぞれ11%と22%も減少したためだ。現代・起亜自動車などのタイヤを納品している韓国タイヤは最近、タイヤの販売が減少して打撃を受けている。

    韓国タイヤの営業がこのように不振なのは、現代・起亜自動車の営業と密接につながっているからだ。現代・起亜自動車は、海外市場で円安を武器に積極的なマーケティングを繰り広げる日本の自動車メーカーに少しずつ押されており、タイヤの納品量を増やすこともできないでいる。

    輸出業者に部品を納品する中小企業の苦痛が大きい。自動車のブレーキシステム関連の部品を生産するA社の関係者は、「円安で日本車と競合する国内自動車メーカーの採算性が低下し、国内の完成車への部品供給に多くの部分を依存している部品メーカーにも、その影響がそのまま伝わっている」と語る。この関係者は続けて、「これに加えて、米国や欧州などの海外市場でもこれまでの技術競争力に加え、円安による価格競争力まで背にうけた日本の部品メーカーと、海外の完成車への部品輸出を競争しなければなならくて二重苦を経験している」と難しさを伝えた。

    半導体部品を大企業に納品するA社は今年ずっと赤字に苦しみ、従業員の20%以上を削減した。円安による輸出の減少で苦戦する大企業の需要減少が原因だ。大企業への納品量は今年に入って20%以上減少し、1年のあいだに日本の競合他社の製品価格は30%も低下した。日本のメーカーが勢いに乗っており、個別に維持してき海外輸出の道もさまたげられている。

    A社の代表は、「日本製品の価格があまりにも下がって、それを買ってきて国内に流通させても良いほど」だとし、「国内は単価引き下げ圧力で作れば作るほど赤字が出て、海外では日本との競争が厳しく進退窮まった」と語った。

    円安が輸出業者を締め付けてこの余波が部品メーカーまで波及し、続けて内需まで不振になる円安の恐怖が現実となっている。円安に発する輸出不振が内需景気まで締め付けるなか、実物部門の衝撃と企業意欲も急速に下がっている。

    今後の見通しも暗い。日本は金を解き放ち続けると見られる一方で、米国は金利を上げて解き放った金をかき集める見通しだ。韓国は米国には資本が流出して、日本に対する輸出競争力はますます低下することが予想される。政府と韓国銀行などの政策当局の政策手段もどんどん枯渇しており、術が尽きる可能性が高いという悲観的な分析が出ている。

    韓国銀行が29日に発表した「5月の企業景況判断指数(BSI)と経済心理指数(ESI)」によると、製造業の5月の業況BSIは75を記録し、前月比で5ポイントも下がった。 BSIは企業アンケートを通じ、現在と未来の経済状況をチェックするもので、指数が100よりも高いと景気が良いと見る企業が良くないとする企業よりも多いことを意味する。この指数が75に落ちたことは、現在の業況を良くないと見る企業が大幅に増えたためだ。この指数は昨年12月以降、継続して上昇を見せたが、5月に大幅な下落に転じた。

    韓国銀行の関係者は、「中国の成長鈍化や円安などで輸出不振が激しくなっている点が、5月BSIの低下の原因だ」と指摘した。

    現代経済研究所のイ・ジュンヒョプ経済動向分析室長は、「季節的な側面を考慮しても、BSIがこれほどまでに落ちたのは輸出があまりにも良くないから」だとし、「円安と原油価格の下落で輸出が不振に、輸出不振が内需にまで影響を及ぼしている」と語った。輸出不振はもちろん、採算性まで悪化している。

    不動の世界1位を自慢していた造船業界も、日本の逆襲に苦戦中だ。今年の初め、日本最大の造船会社である今治造船は系列海運会社の正栄汽船を通じて、日本のMOL JAPANが用船とする2万100TEU級のコンテナ船2隻、台湾エバーグリーンが用船とする1万8000TEU級コンテナ船11隻を受注した。

    今治造船の善戦は円安効果のおかげだ。日本造船業界は円安により、円建ての船価が約15%上昇し、価格競争力が高まった。 テレビとスマートフォン用のガラス基板メーカーで有名なコーニング精密素材(Samsung Corning Precision Materials)も円安で疲弊している。ガラス基板は日本円で決済代金を受け取る構造なので、円が下がれば売上構造が悪化するしかないからだ。コーニング社の昨年の売上げと営業利益は前年度に比べて減少した。

    生産量の約70%以上を輸出している韓国の家電業界の海外営業担当の従業員は、「海外営業拠点の在庫が、前年同期に比べて約10~20%以上多く積まれている」とした。

    かつて輸出の孝行品目として1位だった石油化学も、中国などの新興市場の自給率の上昇と円安の後遺症がかみ合って非常事態になった。

    蔚山(ウルサン)や麗水(ヨス)など、韓国の代表的な石油化学団地も直撃を受けている。韓国貿易協会蔚山支部によると、4月の蔚山の輸出は62億1000万ドルで、前年同月比で33.9%も減少した。品目別では石油化学製品が前年同月比で37.4%、自動車は8.8%減少した。

    建設機械を生産する斗山インフラコアは円安ではなく、中国国内のインフラ事業環境の悪化で、対中輸出に困難を経験している。斗山インフラの関係者は、「中国の製造業と不動産開発投資の後退、内需不振、工業生産の萎縮傾向、地方政府の財政悪化などの影響で、建設機械事業者の購入計画が遅れており、韓国からの輸入量も減っている」と説明した。

    円安と低原油価格による輸出不振が続くなか、実物生産が2カ月連続で減少するなど、実体経済も萎縮している。

    統計庁が29日発表した4月の産業活動動向によると、業界全体の生産は前月比で0.3%減少した。工業生産は1月の1.9%減の後、2月には2.2%増加したが、3月には再び0.5%減って「ギザギザ」になった。

    これは韓国経済の「主力」である輸出・製造業の不振が足くびをつかまれたためと解釈される。 4月にサービス業の生産は0.5%増加したが、鉱工業生産がマイナス1.2%を記録し、全体的な景気回復の鈍化をもたらした。
  • 毎日経済_ノ・ヨンウ記者/チェ・スファン記者/イ・ホスン記者/チェ・スンジン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-05-29 16:14:46