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SKハイニックスの「賃金共有制」…労使葛藤解決のきっかけになるか

    △写真=SKハイニックスの賃金共有制が財界に新鮮な風を起こしている。写真は、SKハイニックス工場内部と朴星昱(パク・ソンウク)代表。

    SKハイニックスが発表した「賃金共有制」が韓国の財界内外で良い反応を得ている。SKハイニックスの労働組合は、今年の賃金引き上げ分(3.1%)の10%(約0.3%)をパートナー社に支援することにしたと明らかにした。従業員が出すのと同じ金額を会社が別途積立し、総金額では約60億~70億ウォン水準になるだろうという予想だ。たとえば、ある従業員の基本給が5000万ウォンだとする。今年の引き上げ率3.1%を適用すると、総賃金上昇額は年間155万ウォンだ。このうち、15万5000ウォンをパートナー社のために出して、会社もやはり同じ金額を積立するという意味だ。

    これまで大企業の労働組合は「労働貴族」と皮肉られ、「自分たちだけの幸福を満足させている」という批判を受けてきた。大企業の労働組合がパートナー社の従業員のために自分の給料の一部を差し出した事例には、前例がなかったという点で「画期的な共生モデル」という評価を受けている。

    さらに今回の措置は、労働組合から先に提案したという点で、より一層注目されている。 SKハイニックスの労働組合がパートナー社との「賃金共有」に合意するのは容易ではない決定だった。SKハイニックスの今年の賃金引上げ率(3.1%)は、昨年(7.5%)と比較すると半分にもならない。それにもかかわらず、この協議案は82%という高い賛成率(利川大議員会の投票結果)で通過した。

    労使が一緒に用意した約60億ウォンの財源は、京畿道利川と忠清北道清州の半導体ラインで働いているパートナー社の従業員4000人に還元される。1人当り約150万ウォン水準だ。SKハイニックスの関係者は、「パートナー社の従業員の処遇は、SKハイニックスの従業員の50~60%水準だ。これをより引き上げることについて労使が共感している」と説明した。

    SKハイニックスの賃金共有制は、毎年の労使の合意決定事項だ。来年、労使合意がなされない場合は、一時的なイベントとして終わる可能性もある。このため、会社側は別の安全装置を設けた。SKハイニックスのヒョン・スンヨプ企業文化本部長は「今年の規模(約60億ウォン)分だけは今後もパートナー社の従業員に毎年基本的に支援する」と語った。

    専門家は、大企業の労働組合がパートナー社のために、自分の既得権を放棄したという点を高く評価している。韓国経済研究院マクロ政策研究室のピョン・ヤンギュ室長は、「正規職と非正規職の賃金格差が社会的に問題になっている中で、これを解決するために正規職の労働組合が参加したという点で大きな意味がある」と強調した。韓国労働研究院労使・社会政策研究本部のペ・ギュシク本部長も「SKハイニックスの賃金共有プログラムが成功的に安着するなら、NoNo(労労)葛藤の解決と分配構造の改善を同時に達成できるだろう」と意味を付与した。

    今後、SKハイニックスがこの制度を定着させ、さらに一歩進んで他の企業に拡大されるためには、複数の課題がある。まず、労使が一緒に責任意識を持って、お互いの信頼を積み重ねていく方式で賃金共有制に参加しなければならない。賃金共有制を名目として労働組合が過度な賃上げを要求するなら、本来の趣旨が損なわれる恐れがある。

    この制度がいくら新鮮な発想だとしても、国会や政府などが乗り出して他の企業に半強制的な導入を要求する危険性があるという声も出ている。ピョン・ヤンギュ室長は「お互いの譲歩がなければ、望まない賃上げにつながる可能性がある」とし、「労使間の信頼をもとに、自発的な運営に任せれば、社会的にも大きな効果があるだろう」と強調した。
  • 毎日経済_カン・スンテ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-06-15 11:01:11