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韓国の自動車業界、賃金は世界最高…1人当たりの生産はトヨタの3分の1

  • 「事実上の賃金削減を招く賃金ピーク制は決して受け入れることができない」

    去る11日、現代自動車グループが2016年から全ての系列会社に対して賃金ピーク制を導入すると発表した後に出てきた労組側の反応だ。6月から行われている現代自動車の賃金・団体交渉で、会社側は生産性とは無関係な賃金構造の改善のための手段として「号俸制廃止」を提案したが、労組はこれも聞いたふりすらしない。今年上半期、現代自動車の営業利益が前年に比べて17.4%も減少した状況で、労組は賃金を7.84%引き上げることと当期純利益30%をボーナスとして支給することを要求している。

    労働改革が時代的なトピックとして浮上したのに、韓国最大の単一事業場である現代自動車の労組の姿からは「青年雇用創出」と「持続可能な労働市場」に対する苦悩を見つけることは難しい。賃金ピーク制が争点として浮上した今年の現代自動車の賃金交渉は、今後の労働改革の方向舵になる可能性が高いという点から、労使ともに非常な認識転換が必要だという指摘だ。韓国完成車と日本、ドイツ、米国などの世界のメジャーな自動車メーカーの労使関係を見てみると、韓国の自動車メーカーは「労働者の天国」と言っても過言ではない。絶対賃金​​の水準はもちろん、賃金増加率が最も高く、雇用の安定性も最高だ。

    金融危機以降の2009~2014年にドイツ、米国、日本、フランスの自動車産業の平均賃金増加率はそれぞれ-0.4%、0.1%、-6.6%、-4.1%と減少または停滞している。2008年に800万円を上回っていたトヨタの1人当たりの平均賃金は、2009年には710万円と大幅に減少したが、昨年になってようやく再び800万円台を回復した。世界的な金融危機のときに自助努力で賃金を削ったが、業況が回復したため、少しずつ上昇している。フォルクスワーゲンは2011年以降、年平均賃金増加率が2.0%と安定している。GMは実質賃金基準で、2003年以降減少を続ける傾向にある。GMの収益低下が賃金にそのまま反映された。

    韓国は業況とは無関係に、賃金は無条件に上がる仕組みだ。2007年以降、年平均6.6%上昇した。さらに金融危機のときにも上がった。韓国自動車産業協会と産業研究院が共同で出した報告書によると、2014年の韓国の完成車5社の従業員1人当たりの平均賃金は9234万ウォンだった。韓国完成車の中では、ルノーサムスンの賃金が最も低いことがよく知られている。それでもフランスやスペイン、韓国などに工場を持っているルノーは「韓国工場の人件費の負担がフランスとスペインよりもはるかに高い」と評価する。

    売上高に対する賃金の割合は、その産業の競争力を示す基本的なデータだ。2014年に韓国の自動車メーカーの売上高に対する賃金の割合は12.4%で、フォルクスワーゲン(10.6%)よりも高く、トヨタ(7.8%)より大幅に高かった。賃金の割合が高い企業は、研究開発(R&D)とマーケティングなどの企業の競争力強化に多くのお金を使うことができない。自動車の専門家が韓国の自動車産業の将来の競争力を低く見る理由だ。

    賃金は生産性に収斂することが一般的だ。韓国の自動車産業は、このような一般論からだいぶ外れている。2014年の1人当たりの売上高規模において、韓国5社は7億4706万ウォンと、トヨタ(15億9440万ウォン)に比べて半分にも満たなかった。1人当たりの営業利益も4122万ウォンと、トヨタ(9823万ウォン)とは比較にならない。 1人当たりの売上高が高いということは、同じリソースでより多くの車を生産していることを意味する。

    1人当たりの自動車生産台数は韓国メーカーが37台、トヨタが93台と、大きな差がある。さらに、自動車1台当たりの平均輸出価格が、韓国は1万4900ドルであるのに比べ、トヨタは2万3000ドル、フォルクスワーゲンは2万9000ドルだ。フォルクスワーゲンの労働者の付加価値生産性は、韓国の労働者に比べて2倍だ。競合他社よりも付加価値が落ちる製品を生産しながら、より多くの人材を投入し、1人当たりの賃金は最も高く支給するのが、韓国の自動車産業の現状なのだ。
  • ノ・ウォンミョン記者 / ハン・イェギョン記者 | 入力 2015-08-18 21:10:24