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ちょっとねじっただけなのに広告が違ってみえる

広告新トレンド「変形技法」 

  • 「新しい視覚、完全に違う角度で接近しろ!」

    広告は常にこんな風だった。完全に新しい発想、逆説、反転そして新しいパラダイム。広告媒体が、影響力のある印刷媒体とTVなどいくつかに限定されている時はこの公式が合った。しかし「ティザー広告(情報が全て知らされず好奇心を持たせる広告)」でさえこれ以上好奇心を呼び起こせない時代になった。「逆発想と奇抜さ」に人が食傷感を感じるようになったという意味だ。どんな広告よりPSY(サイ)のミュージックビデオが奇抜である状況になり、これを地球村の数億人がクリックして見る現実だから「奇抜な広告」に対する大衆の食傷感はそのどの時より大きくならざるを得ない。

    最近、SKマーケティングアンドカンパニーは「新しさと反転」に対する脅迫観念を捨てた新しい形態の広告をつくり出している。既存の慣れた情報も見せるが、角度を1~2度をねじる「変形マーケティング」技法だ。角度が1~2度歪むとすぐには大きな変化が感じられないが、時間が過ぎるほどその差が広がり、ある瞬間、消費者の頭の中により新鮮な広告として認識されるのだ。

    △写真=オートバイエンジンを加速すると、ドミノというブランドが見えるドミノピザの「加速騒音変形広告」

    ▶「しながらする」、当然なものを新しく

    LTEは速い。音声通話だけでなく、各種動画伝送と視聴、ネットワークゲーム、VoLTE(LTE網を活用した高品質通話)を同時に遂行できるようにする。単純に速いという言葉では不足だ。

    最近、SKマーケティングアンドカンパニーがつくったSKテレコムの「しながらする」広告は、まさに誰もがLTEサービスの速度にだけ特徴をつけている広告に若干の変形を加え「同時に仕事を処理することができる」ことを強調した。

    事実、LTEサービスの特徴上あまりにも当然なことだが、これまで強調されなかった点を狙った典型的な「変形」マーケティングだ。野球場にかかった建設会社の広告もまた野球場での「ホーム」の意味を若干変容したものだ。

    SKワイバンスのホーム球場である仁川(インチョン)文鶴(ムンハク)球場、同じ都市の仁川国際空港入国場でSK建設は、自身のアパートブランドであるSK VIEWを強調する「Welcome Home」ブランドキャンペーンを繰り広げ「プラカード自販機」をつくり数か月前まで運営した。野球ではホームプレートに戻ってきてこそ点数が出て、空港では旅行を終えて帰国する意味で「ホーム」を強調するものだ。

    そして、いつでも「歓迎を受けるホーム」はまさにSK VIEWアパートだという意味が内包されている。このキャンペーンは、ものすごい逆発想や奇抜なアイディアから出たものではない。ともすると言葉遊びのようでもある「色々な状況で多様に使われる意味」をただひねっただけだという話だ。

    ▶ 世の中はすでに疲れきっている、「難しく考えすぎるな」

    国内でSKマーケティングアンドカンパニーが導入した「変形マーケティング」は、全世界至る所で行われている。

    どの国のどの都市の消費者も過度な広告に疲れてしまったのは同じだからだ。代表的な「レッドオーシャン」であるピザ店販促では、最近ドミノピザオランダが見せた「オートバイ広告」が目を引いた。どれだけ新しい材料を使って、これを異なる角度で見せるいろいろな奇抜な広告をつくっても、どこでも味がそれほど変わらないピザを際立出せるのは難しい。

    多チャネルマーケティング、ソーシャルメディア活用などの強迫観念を捨て、むしろ実際に走り回る配達オートバイにあれこれメッセージを盛り込んだということだ。「複雑であるほど単純に」、「媒体が多様であるほど基本に戻れ」という原則を立てたということだ。そうでなくとも見るものが多く疲れる時代に、難しく考えずオフライン配達にアイディアを加えた単純な「加速騒音変形」が作り出した広告だ。

    不況のトンネルがいつ終わるか分からず、生存のための競争は企業であれ消費者であれ、さらに過酷になる状況だ。ある哲学者の「疲労社会」という単語が説得力を得る時代に「継続する新鮮さ」と「新しいチャネル」は今ではただの「疲労」という言葉だ。

    ▶ 日常を少し歪めろ、それが本当の広告だ!

    世の中がひどく複雑になると日常が重要になる。複雑な世の中で広告はむしろ単純になり始めた。ベイン&カンパニーのイ・スファンチーム長は「広告効果は他のどんなものより消費者参与・介入(engagement)が重要だ」とし「今のように各種情報が乱立し、新しく奇抜なもので毎日変化が速く、むしろ疲労感が感じられる時代には、参与や関心を呼び起こすのがさらに難しくなった」と診断した。

    イチーム長は「新しさと奇抜さに対する脅迫を捨て、むしろ反対となる情緒的共感を引き起こすことができるかどうかが広告の成功ポイントになった」とし「平穏で慣れ親しんだものが消費者の情緒的共感をもたらし、消費者の関心と参与を触発するのに有利になった」と説明した。インターネットが速く拡散された時期には、奇抜な全てのものが消費者を引き寄せたが「破格」を通じた刺激が情緒的疲労感を呼び起こす現在にはうまく通じないという話だ。

    イチーム長は「しかし今のように日常と単純さに集中する広告は、ややもすれば『過度に無難になりがち』という問題がある」とし「この時必要なのがまさに日常を1~2度歪める『変形マーケティング』だ」と話した。
  • Mマガジン_(文)コ・スンヨン | 入力 2012-10-26 12:00:00