記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
数字経済 > 総合

サムスンとLGのサプライズ実績の裏には「緻密なコスト削減戦略」

    • < 売上停滞の中、営業利益が急増する電子業界 >

    サムスン電子とLG電子の相次ぐ第1四半期のサプライズ実績の裏には生産過程での部品の在庫管理など、緻密なコスト削減戦略が功を奏したことが分かった。売上げは停滞または減少したが、営業利益が専門家らの当初の予想をはるかに超えることができた主な背景としてあげられる。

    12日、LG電子の関係者は「不況が長くなると部品の在庫管理で実績が決まる」とし、「需要不振がいつまで続くかわからないので、最大限に保守的に生産工程を組む」と語った。この関係者は、「完全に革新的な製品で勝負をかけるよりも、既存のモデルを少しだけ変えて性能を改善する方法でコストを削減し、マージンを高める戦略が代表的」だと付け加えた。特に、販売不振で既存製品に組み込まれるはずの在庫部品を、最大限に再活用できるという長所がある。

    モデル自体を完全に新しく変えてしまうと既存部品の使用率はそのぶんだけ低下し、新しい生産ラインでの不良率が高くなる可能性も大きくなる。これはそのまま負担として転嫁されうる。

    実際に、11日に発表されたLG電子の第1四半期の実績をみると、売上高は証券会社のコンセンサスよりも5%減少したが、営業利益は23.1%も高かった。先に発表したサムスン電子も、第1四半期の売上高は専門家らの予想から大きく逸脱していない。当初の予想よりも0.5%程度増えただけだ。しかし営業利益は19.3%も高かった。サムスン証券のファン・ミンソン アナリストは、「売上高は専門家らの期待値と大きな差がなかったが利益がサプライズなのは、会社が新興市場の物量占有率よりも、米国や韓国などで収益性中心の戦略を追求して成功したという意味」だと説明した。

    電子業界では景気沈滞による需要不振打開のために、昨年の第4四半期から全社的に進めたさまざまな方式の在庫管理手法とコスト削減努力の結果だと分析している。これらの戦略は不況のたびにしばしば活用される方式だ。景気の萎縮で当初の需要予測が食い違うときに、残ることになる部品を再利用することも可能だ。コストが減るために価格を下げつつ、不況を迎えた消費者層を対象とする新たな市場の創出も可能だ。

    完全に新しいモデルよりは既存のモデルを変えながら性能を向上させる方法で、需要の萎縮にともなう価格負担は減らしつつ、予期せぬ需要萎縮に対応できる利点がある。

    代表的な事例はAppleが最近リリースした「iPhone SE」だ。 iPhone SEの内部をのぞいてみると、直前のモデルの「iPhone 6」と部品がほぼ同じことが分かった。部品を完全にリサイクルしながら、価格を下げる方法で新たな市場を作り出した。 LG電子も海外の一部の市場向けに「G5 SE」を出荷することにしたが、不確実な需要予測に備えながら、もしかしたら発生するかも知れない在庫部品を最小化するという側面でもウィンウィンすることができる戦略であるわけだ。

    サムスン電子の関係者は、「iPhone SEは価格を大幅に下げたが、それでも多くの利益を出すことができるのはまさに部品のリサイクルのため」だとし、「在庫処分によるコスト負担を少なくしながら、次期モデルの準備も可能になる」と語った。

    サムスン電子が今年の第1四半期にサプライズ実績を出したことも、このような戦略と無関係ではない。「ギャラクシーS7」の生産過程が代表的だ。従来モデルの外形は可能な限り維持しながら、性能を改善することに焦点を合わせ、費用負担を大幅に減らしたことが分かった。モデルが大きく変わっていないので、不良率自体も減少した。「ギャラクシーS6」に初めて導入したエッジモデルでは不良率が高かったが、その過程で積んだノウハウがそのまま採用されてギャラクシーS7では大幅に向上した。そのぶんコストが減ったわけだ。

    今年新たに出したテレビや洗濯機、冷蔵庫の分野でも状況は似ている。全く新しい製品ではなく、機能の向上に焦点を合わせる戦略でコスト負担を最小限に抑えた。

    サムスン電子の関係者は、「長年の経験により、利益部門はコストを減らすか、または効率を高める方法でいくらでも管理が可能なのは事実」だとし、「問題は、売上げ」だと語った。この関係者は、「売上げは企業がどうにかできる分野ではないのに、需要不振は長くなりつつ停滞している」とし、「今後どのように耐えられるかは売上げにかかっている」と説明した。

    この半面で、電子メーカーのきめ細かな在庫管理は、部品メーカーの実績にはむしろ悪影響を与えている。部品発注を調節しつつ在庫を最小限することから、部品メーカーの売上げと営業利益が減っているからだ。実際にギャラクシーS7の部品メーカーのKH VATECは、今年の第1四半期の営業利益は昨年の104億ウォンから11億ウォンにすとんと落ちるだろうとIBK投資証券は推定した。 HMC投資証券はサムスン電気の第1四半期の営業利益を683億ウォンに見通して、これまでの推定値よりも25%減らした。
  • 毎日経済_ソン・ソンフン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-04-12 19:53:24