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「生クリーム」の供給量が40%以上減少…緊急事態

牛乳があり余って…時ならぬ「生クリーム大乱」 

    • < 国内の粉ミルクの在庫量 / 年度別の1日の平均牛乳生産量 >

    # 料理が趣味の会社員キム・ヒョジョンさん(31)は3日前、クリームソースを作る材料を購入するために仕事の後にいつものマートに立ち寄ったが、生クリームは品切れだという言葉を聞いて踵を返した。そのあと、近所の近くのスーパーマーケットや大型マートを3~4ヶ所を回って、ようやくたった一本残った500ミリリットル容量の生クリームを1パック購入することができた。

    # デザートカフェを運営しているソ・ヒョンスクさん(35)は、二日前に食材の供給者から「しばらく生クリームを供給できない」という青天の霹靂のような話を聞いた。先週から品が無いからと注文数よりも少なく納品されて困り果てていたうえに、いまや生クリームを供給できないという通知まで受けた。どうしようもないので、生クリームケーキを減らし、加工クリーム(原油に添加物を加えて作った代替クリーム)などを一部使用しているが、味が大きく落ちるのでこの製品を出したものの常連客さえ失うか心配だ。

    デザート熱風のうえにケーキをはじめ、各種デザートに欠かせない主材料の「生クリーム」の需給が減って緊急事態だ。個人需要者はもちろん、カフェやベーカリーなどの生クリームを使用している企業は生クリームを手に入れようと苦労している。牛乳の在庫はあふれているが、牛乳が主原料の生クリームを入手きない逆説的な状況が起こっているわけだ。

    16日、イーマートによると最近一週間、牛乳業界の生クリーム供給量が前年同月よりも40%以上減少した。牛乳業界が生クリームの製造量を減らしたからだ。ソウル牛乳協同組合によると、今月に入って生クリームの生産量は前年同月比で多ければ50%ほど減少した。毎日乳業など他の乳製品メーカーはこれよりも多く製造量を減らした。

    このような生クリーム生産量の減少で、一部では「牛乳業界が生クリーム値上げのために談合しているのではないか」という推測と非難まで出ている。

    ありあまっている原乳で生クリームの生産を増やせば良いのに、かえって減らしたことからこのような推測が出てくるのは当然だ。ところが、牛乳業界ではむしろ「原乳があまりにあまって」生クリームの生産量を減らした。これは一体どういう話なのか。ある業界関係者は、「生クリームのような乳製品は脱脂粉乳や低脂肪・無脂肪牛乳を製造して、残りの副産物である乳脂肪を活用して作る」とし、「しかしすでに粉ミルクの在庫があふれる状況で、生クリームのために原乳を脱脂粉乳にすると収支は合わないだけでなく、在庫の調整も難しい」と打ち明けた。

    実際に、牛乳業界の「原乳があふていれる」という表現は、牛乳ではなく「粉乳」の在庫が過剰だという意味だ。賞味期限が短い原乳は、牛乳を製造して残りの物量を粉乳に変えて保存するが、現在の粉乳在庫量は4月の目安で約1万8000トンで適正在庫量(約6000トン)の3倍に達する。

    牛乳業界ではこのような雪だるま在庫の管理のために最近、原乳の生産量を減らした。酪農振興会と農林畜産食品部などによると、今年の生乳生産量は日平均5766トンで、昨年(6135トン)に比べて約6%減少した。これによって毎日残る「原乳余剰量」は約28%減少したが、これらを脱脂粉乳に切り替えて作られる生クリームの生産も減った。さらに、夏には冬よりも原油の乳脂肪含有量が10%以上少なくなり、生産量はさらに減ることになる。これにより発生した「生クリーム大乱」で、大型ベーカリーなどは冷凍生クリームを輸入するなどの選択肢を設けているが、比較的少量の生クリームが必要なカフェ・ベーカリーや各製菓・製パン学園は地団駄を踏むだけだ。

    このような需給の不安定は、当分のあいだ簡単には解消されないだろうと予想される。酪農振興会の関係者は、「継続する割引と販売促進にもかかわらず牛乳の消費量が減り、業界では雪だるま在庫の原乳生産量を継続して調整するしかない」と語った。また、この関係者は「粉乳はキログラム当たりのコストが約1万2000ウォンで、キログラム当たり3000ウォン台の輸入製品に比べて競争力がなく、損害が生じる状況で粉乳を製造して在庫を増やす代わりに、1プラス1などの販売促進で牛乳を消尽するのがよいと判断している」と語った。事態が解決しない場合、生クリームよりも相対的に賞味期限が長いバターやホイップクリームも物量の不足に苦しむ確率が高いというのが業界の懸念だ。
  • 毎日経済_イ・セボム記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-06-17 07:55:23