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LG化学、夢の新素材「カーボンナノチューブ」を量産

    △写真= LG化学が全羅南道・麗水(ヨス)に構築した、世界最大のカーボンナノチューブの工場全景。鉄より100倍も強い新素材はこの工場で生産される。 [写真提供= LG化学]

    全羅南道の麗水産業団地にあるLG化学カーボンナノチューブ専用工場。産業団地に入るとすぐに5階建てアパートほどの高さの、巨大な流動層反応器(カーボンナノチューブ生成装置)が目に入ってくる。LG化学が「夢の新素材」と呼ばれるカーボンナノチューブの大量生産に乗り出せるようにした核心設備だ。主原料のエチレン(CH2=CH2)が搬入される輸送パイプの長さだけでも2キロメートルに達する。

    ここでは鉄よりも100倍強く、銅のように電気伝導率の良い次世代素材カーボンナノチューブが年間400トン生産される。単一設備では世界最大規模だ。

    LG化学は今年2月にカーボンナノチューブ専用工場を完成させ、今年を新素材大量生産体制の元年とした。カーボンナノチューブは軽くて丈夫なうえに伝導率が良く、航空機の胴体から2次電池素材にいたるまでさまざまな分野で活用されている。

    世界で最も大きい設備だが、騒音はほとんどない。全生産ラインが密閉装置の中に包まれているからだ。カーボンナノチューブは直径が数十ナノメートル(10億分の1メートル/髪の毛の10万分の1の太さ)に過ぎず、小さな空気の流れにも簡単に飛んでしまうため、原料の注入から出荷まで、すべての工程は外部に露出されない。

    麗水工場の核心は、カーボンナノチューブが形成される大型の反応器だ。ふつう、カーボンナノチューブは触媒に主原料であるエチレンを入れて熱を加えると、エチレンの中に含まれている炭素(C)成分が分割されて作られる。しかしこれまでは平らな板の上で形成作業が行われたが、かけた苦労に比べて生産量が多くないという問題があった。

    これに対してLG化学は、平板の代わりに巨大な缶の形をした反応器に原料と触媒を入れる方法に、発想の転換に乗り出した。エチレンが反応する接点を増やした3次元空間での工程に変えて、より多くのカーボンナノチューブを「収穫」するようにしたものだ。大量生産が定着しつつ、生産工程が厳しいことで有名なカーボンナノチューブのコスト競争力を確保できるようになった。

    チョ・ドンヒョン カーボンナノチューブTFチーム事業担当部長は、「最近は情報通信(IT)と電気自動車市場が成長し、リチウムイオン電池の正極導電材(電子の流れを助ける素材)の需要が急増している」とし、「競合他社は1基の反応器から生成できるカーボンナノチューブは年間100トンを超えないが、LG化学は4倍以上を生産することが可能になった」と話した。原料の品質も、二次電池の黒鉛材としてよく使われるカーボンブラック(炭素粉末)に比べてはるかに優れている。例えばLG化学のカーボンナノチューブは、カーボンブラック20%だけを投入しても同一の電池性能を出すことができる。競合他社に比べて製品の強度と導電性をそれぞれ10%以上引き上げた。

    LG化学が2011年、カーボンナノチューブの独自技術開発(R&D)に乗り出した末に収めた成果だ。現在、LG化学がカーボンナノチューブと関連して保有している国内外の特許だけでも250件に達している。

    ナム・ソングク生産パート長は、「2次電池はもちろん半導体や自動車用電磁波防止素材など、さまざまな分野に供給先が増えている」とし、「来年の下半期には工場がフル稼働体制に入れる」と説明した。

    LG化学は製品の多様化の速度に合わせ、2019年にカーボンナノチューブ工場の増設も検討している。業界によると、全世界のカーボンナノチューブ市場は昨年の824トンから2020年には1335トンに、平均10%以上成長すると観測される。

    LG化学の関係者は「カーボンナノチューブ分野の技術力をもとに、今後は北米・欧州・中国などのグローバル市場の攻略に本格的に乗り出す方針だ」とした。

    ソン・オクトンLG化学基礎素材事業本部長は、「既存の汎用製品だけでは、ますます激しくなるグローバル競争で前に出ることはできない」とし、「今後はカーボンナノチューブなど、次世代素材の市場をリードしていく」と明らかにした。
  • 毎日経済 麗水=キム・ジョンファン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-09-20 17:57:06