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マダンノリ「沈清(シムチョン)が来る」完売続出

楽しい国楽で「ピーナッツリターン」などの風刺に観客爆笑 

    「田舍臭いんじゃないか」

    マダンノリ(*)に対する偏見がいっぱいの状態で、ソウル国立劇場ヘオルム劇場の舞台上の座席に座っていた。しかし、客席からすばやく飛び出してくるサムルノリの一行に圧倒された。轟々しく軽快なケンガリの音が韓国人の血液の中に眠っている興を覚醒させた。誰も指示していないのに、中高年の観客は「オイ」や「オルス」と掛け声を入れた。拍手をして肩を震わせた。まるで「水を得た魚」だった。これほどにマダンノリ愛好家が多かった。4年ぶりに帰ってきたマダンノリ『沈清(シムチョン)が来る』が大ヒットした。有料観客の割合が90%(全客席1548席)を記録した。これまで8回の公演のうち6回が売り切れた。来年1月11日まで計26回の公演があるが、団体チケット販売が列をなしている。 20代と30代の観客が中心の公演市場で疎外されていた中高年層の渇きを満たしてあげたおかげだ。公演序盤、年配の観客は、舞台の上の告祀用の祭壇にお金を入れるために並び、俳優たちと一緒に踊りを繰り広げた。

    舞台と客席の疎通がまさにマダンノリの白眉だ。俳優たちは公演中、観客と目を合わせて声をかけた。華麗な踊りと情味豊かな音、濃い話し方で客席を魅了した。

    諧謔と風刺、人生の喜怒哀楽が込められたマダンノリは、古いものだけを踏襲しない。今が含まれている。捕吏がバイクに乗って出てきて盲人の宴を知らせ、全国から集まって来た盲人はセルカ棒で認証ショットを撮る。シム盲人とペンドクがテ・ジナのヒット曲『同伴者』を歌った後、指揮者は「私の点数は、不合格です」とオーディション番組をまねることもある。母を失った赤ん坊の沈清のために近所の女性たちは「沈清授乳チャットルーム」を作る。「奨忠洞元祖婆さん乳」を誇る老婆はカボチャ2個を振って「お前たちが母乳の味を知っているのか、70年間発酵させた敬老堂の母乳」と叫ぶ。

    ドロドロとした性的な冗談が出ると大人の観客たちの爆笑が起こる。「バンアタリョン」の歌と踊り、セリフは「19禁」だった。マダンノリの笑いには「骨」がある。「印塘水(イムダンス)」池の生け贄として売られた沈清の最後の食卓でシム盲人は「ピーナッツは皿に盛って来たのか」と趙顕娥前大韓航空副社長の「ピーナッツリターン」事件を風刺する。ワイワイと騒がしいが、公演のまとめ部分は意味が深い。目を開けたシム盲人がペンドクを非難すると、沈清は「許してください。共に生きる世の中じゃないですか」となだめる。去る8月に訪韓したフランシスコ法王のメッセージ「他人の話に耳を傾け、ともに生きて行け」を叫び、有終の美を飾る。

    伝統的な歌舞音楽と現代の言語が完全に結合された公演だった。1981年から、テント劇場と体育館で観客250万人を動員した元祖メンバーらの力だ。振付師のクク・スホは喪輿遊びと紙錢踊り(ムダンが紙幣を持って踊る踊り)、鶴舞、梵唄、宮中舞踊などを劇によく密着させた。観客に囲まれて舞台セットを設置できないが演出のソン・ジンチェクは上手に空いているスペースを埋めた。青い布を振って海を作成し、ダンサーたちに魚の服を着せて龍宮を演出した。元祖ペンドクのキム・ソンニョは演戯監督として参加し、作曲家パク・ボムフンも加勢した。

    今回の公演のもう一つの収穫は、次世代を排出したという点だ。ペンドク役を務めたソ・ジョングム、キム・ソンイェ、沈清役のミン・ウンギョン、ファン・エリ、シム盲人役のソン・ジェヨン、キム・ハクヨン、国立唱劇団、国立舞踊団、国立国楽管弦楽団がマダンノリの伝統を継ぐことを期待している。(02)2280-4114~6

    (*)マダンノリ:広場で行われる民族遊戯の総称
  • 毎日経済 チョン・ジヒョン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2014-12-18 16:59:43