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生と死を表現したポンペイの壺、カン・ソンウォン遺作展

www.sac.or.kr 

    • < Impression of Pompeii(安らかで神聖な庭園から-ポンペイの印象) 200x200㎝ >

    昨年9月、突然疲れが押し寄せた。病院に行くと片側の腎臓が大きくなり切除手術を受けないといけないと言われた。手術中にがん組織が発見され、リンパ腺までがんが転移しているという青天の霹靂のような知らせを聞いた。4年ぶりの個展のために新作作業に熱中していた彼は、がんの診断から5ヵ月後となる今年4月に59歳の若さで生を終えた。

    16日からソウル芸術の殿堂ハンガラム美術館2階にて個展ではない遺作展を開く故カン・ソンウォン作家の話だ。闘病しながら描いた最後の作品は偶然にも自画像だった。彼は「自画像」という作品キャンバスに、「最初は少し驚きもしたが、それが祝福であることを後に知った」と書いた。弟子たちとともに遺作展を準備した妻チョン・ヒソン氏は、「作家は数年間、小さな作業質から3000点を越えるシリコンを使用した作品を作りながら、換気させることも忘れて作業に没頭した」とし、「作業をしながら最後まで行くことになったことは、彼は祝福であると知った」と伝えた。

    展示には「生-外出」、「人生-外出」、「自画像」など新作を含み、1990~2000年代の作品も登場する。総70数点が詰まった回顧展形式で彼の作品世界を全体的に再照明する。タイトルは「安らかで神聖な庭に行く道」だ。

    彼の作品の特徴は強烈な色彩と即効的で力のある筆線だ。ドイツのデュッセルドルフ美術アカデミーと大学院を卒業した彼は、当時ドイツ画壇に浮上した新表現主義の影響を多く受けた。荒れたタッチと多様なオブジェが登場し、生と死など根本的な問いかけを深く掘り下げる作業をおこなった。

    作品評論は厳しい大邱カトリック大学造形芸術学部のペク・ミヘ教授は、「ドイツ留学から帰ってきた彼は1990年代に新表現主義の旗手として評論家たちのスポットを浴びた。原罪意識と宗教的感性が顕著な作家だった」と記した。美術評論家の安東大学ソ・ソンロク教授も、「2000年代に入って国内画壇にポップアートと極写実主義などが全面に浮上し、彼が追求していた荒く強烈な表現は多少画壇から避けられたことは事実」だとし、「それでも彼は自分の哲学と世界観を粘り強く押し出した作家」だと話した。

    作品からはイタリア南部の都市ポンペイの遺跡でよく見る壺が大挙登場する。火山によって廃墟となった都市ポンペイにごろごろと転がる壷はまるで人間の群像を連想させる。健康でよい壷もあれば、とても美しい壷もある反面、割れて粉々になった壷もある。作家は生前にポンペイを3度訪ねるほどにその場所で作業のインスピレーションを受けた。壊れた現実をめまぐるしく表現しながらも、彼が追求したことは人間の善と文明と自然に対する愛情のこもった視線、人間の超越性だった。最先端の現代美術という造形言語を使用して、彼は神聖なる世界に進んでいった。

    展示は23日まで。
  • 毎日経済_イ・ヒャンフィ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-06-17 06:20:31