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「韓国大衆音楽の伝説」ハン・デスも避けられない「ヘル朝鮮」

◆ City Life 第506…STAR TAP ③/④ 

    今もLPの思い出を手探りに生きる人々にとって、音楽人ハン・デスは二言が必要のない存在だ。異様な表情の顔写真と木にひっかけられたゴム靴が印象的だった彼の1集と2集アルバムは当時の時代状況と相まって韓国大衆音楽の流れを変える大事件として記憶された。「韓国初のボヘミアン」と呼ばれた彼に「韓国フォークロックの伝説」や「韓国モダンフォークの創始者」という雄大な修飾語が付けられ、最近では「永遠のインディーズミュージシャン」という話も聞かれる。

    1989年のアメリカから戻り音楽、写真、放送など全方位アーティストとして生きた彼が、来年春に再びアメリカに戻るという言葉が聞こえる。幼少期をそこで過ごし、1974年「体制転覆を図る音楽」という汚名を着て離れ、15年という月日を過ごした場所でもあり、ともすればニューヨークは彼にとって故郷のように平穏な場所なのかもしれないが、どこか気持ちが落ち着かない。12月25日、韓国での最後のコンサートの知らせを公開し、彼が明かした「韓国を離れる理由」のせいだ。アメリカ行きの理由として彼は「うまく出ない声と幼い娘の教育のため」だと湾曲して説明したが、彼を良く知る人々の話しを総合すれば一言で「経済的問題」が少なくない比重を占めているという。彼が話した「うまく出ない声」は「公演」と「放送」という唯一の収入源の消滅を意味するものであり、簡単に言えばこれ以上この地で金を稼ぐ方法がないということだ。実際に彼はこの秋、これまで進行してきたラジオプログラムの改編によって放送から降板し、生活苦に瀕しているものと伝えられていた。

    今年で67歳。「韓国大衆音楽の伝説」であり数多くの後輩音楽人から崇められる彼さえも避けることができない「ヘル朝鮮」の違う姿のように見える。声が生計に直結する音楽人の生とはこれほど過酷なのだ。韓国で音楽人として生きるということは天刑という言葉が似合うほどとても差し迫った現実だ。
  • Citylife第506号(15.12.08) | 入力 2015-12-02 16:01:33