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「太陽の末裔」熱風分析③ 事前制作が答え?…まだ見守る時期

    事前制作ドラマは良いことだらけなのだろうか。出演陣と制作陣の異なる意見を聞いてみた。

    事前制作システムは、放送関係者が注目する制作システムだが、これまで『飛天舞』『ロードナンバーワン』などの事前制作ドラマは興行でだけは涙を飲み込まなければならなかった。ところが、今回の100%事前制作『太陽の末裔』は、異例の放送3話で視聴率20%を突破し、勢いを見せているのが目を引く。

    通常のドラマは細かく分かれた台本で生放送の撮影という汚名のもと、完成度の面では物足りなさを見せた。俳優イ・スンジェはSBS週末ドラマ『そう、そういうことさ』制作発表会当時、「断片台本で演技をするのは、異常な状況だ」と劣悪な制作環境の改善と完成度の高いウェルメイドドラマ誕生のために事前制作ドラマは必須という意見を表わしたりもした。

    それにもかかわらず、なかなか事前制作をすることができなかったのにはそれなりの理由があった。それは、視聴率に応じてドラマの流れを変更したり、世論に支えられ放送を延長したり、または早期の放映終了ができるからだ。半事前制作だったtvNドラマ『チーズ・イン・ザ・トラップ』のイ・ソンギョンはペク・インハ役で「大根役者論議」を起こした。放送序盤から彼女の誇張された語り口と行動が指摘の対象とされたが、その時にはすでに半分程度の撮影が終わった後だった。俳優が撮影分を見てキャラクターをつかんでいた時とは違い、事前制作ドラマは大衆との疎通なしに撮影を強行し、手を加えることもできずに酷評を浴びることもある。

    先立って『太陽の末裔』の制作発表会で、制作陣と出演陣も口を揃えて事前制作に対する不安感があったと告白した。

    キム・ウンスク作家は 「事前制作をしてみると長所と短所が明らかだ。台本がすべてあり、俳優たちが最初から自分のキャラクターをよく認識し制作陣と話をたくさんすることができるのが長所だ。ところが、本放送を見れないとなると、テキストで感情を引き出すことが難しかった。『ドラマがうまく行っているか』という不安な気持ちがあった」とし「結果が予測できない。ところが、やはり制作しておくと完成度の側面でしっかり仕上げることができた」と一長一短を説明した。

    ソン・ヘギョは「物理的に、事前制作が生放送でするドラマよりも楽だが、感情演技面ではより大変な時があった」とし、「事前制作ドラマは1話撮った後に8話を撮ったりもする。生放送で撮影をすれば、順序どおり撮影をするので知らないうちに感情に陥る。ところが、100%事前制作はむしろ感情演技の部分が少し大変だった。だから必ず事前制作にこだわったりはしない」と自分の意見を明らかにした。

    キム・ジウォンも「事前制作にこだわりはないと思う」と口を開いた。続いて「私は多くの準備をする方なので、気持ちは楽だった。数回見て考える時間があった。悩む時間がたくさん必要だった。そのような面では、助けになった」と話した。

    ソン・ジュンギは 「事前制作という理由のために、私自身『もっと上手くやらなければいけなかった』という欲があった」とし「これまでは忙しくて台詞を覚えられなかったという言い訳をできたかもしれないが、事前制作ドラマであるだけに言い訳が効かない」と率直に話した。

    他にも出演陣の立場では、事前制作の期間が長くなると活動できないことが負担として近づいてくる。

    ある所属事務所の関係者は、「事前制作期間が6カ月程度になる。その期間中には他の放送に出演するのは難しい。重複して放送に出演をすることができないため撮影終了後も放送期間内も一切他のドラマに出演するのは難しい」とし「女優の場合、1年近く放送出演を自制しなければならないため、多少負担になる」との意見を明らかにした。

    編成に対する不安感も事前制作を嫌う最大の原因だった。ファン・ジョンミンの『約束の恋人(原題:韓半島)』は、当時、巨額の制作費の準備に困難を経験し、制作スケジュールが多少延びて編成においても苦しかった経験した。ユイの『バーディーバーディー』もやはり編成確定前に事前制作に突入し、撮影が終わったしばらく後に編成を確定した。このような場合、制作陣は現在のトレンドを反映できないという不安を抱え込むしかない。

    このように韓国ドラマという特殊で複雑な環境の中で「事前制作システム」が 自分の意志半分、他人の意志半分で立場を保持しているように思われる。出演陣と制作陣の処遇改善とウェルメイドドラマ制作のためにというよりは、中国資本が原因だという意見が有力視されるのも事実だ。

    中国でドラマが放映されるためには、6カ月前にプログラム放映計画を報告し、3カ月前に完成したドラマを持って審議を受けなければならない。結局、韓国で最初に放映された後の6カ月後に中国で放映される場合は、インターネットの違法ダウンロードをはじめ、ストリーミングサイトの活性化に打撃を受ける。これによりKドラマで事前制作システムは、次第に不可欠な状況になるものと見られる。

    また、中国資本が恐ろしい速度でKドラマ市場に浸透してきている。国内のドラマ制作会社は、ドラマを輸出することで終わるのではなく中国の投資を受け一緒にドラマ制作に乗り出している。今回の『太陽の末裔』の場合、制作会社NEWは昨年、華策メディアとの合弁会社を設立した。華策メディアは、中国ドラマの制作1位の企業で、2014年にNEWに535億ウォンを投資して2大株主となった。 『太陽の末裔』の人気で華策メディアとNEWの株価は最近急上昇を見せている。総制作費130億ウォンを基準として全体の売上高190億ウォンと総投資利益30億ウォンを創出するものと見込まれている。

    ドラマ制作システムを中国が変えた現状況で、今後、中国の情緒に合うドラマを制作していくと、Kドラマの特色が衰退するという指摘も続いている。中国企業を主人に置いた韓国制作会社の創作権が独占的に保護できないということも提起される問題だ。

    このように事前制作システムはまだ過渡期を歩いている。『太陽の末裔』の成功だけをもって「事前制作ドラマがいい」と一般化させるのは難しい。俳優イ・ヨンエの復帰作SBS『サイムダン(師任堂, the Herstory) 』と『歩歩驚情:麗』、『むやみに切なく』も100%事前制作で上半期放送を控えている。しばらくこれらのドラマの歩みに関心が集まる見通しだ。


  • MBNスター キム・ユンア記者 / 写真提供=NEW | (C) mk.co.kr | 入力 2016-03-29 17:10:00