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北朝鮮、18年ぶりに世界経済フォーラム年次総会出席…本格的な実利外交の開始か

    李洙墉(リー・スヨン)北朝鮮外相(写真)は、来る20~23日、スイスのダボスで開かれる世界経済フォーラム(WEF)年次総会に出席する。北朝鮮の官吏としては1998年以来、18年ぶりのダボスフォーラム出席のうえに、歴代の参加者の中では最高レベルだ。李外相は金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記の側近であり、北朝鮮政府の「スポークスマン」格として活動している。

    金正恩第1書記が李外相を西欧資本主義の象徴とも同様のダボスフォーラムに出席させることと関連して、「政権5年目を迎え、内部の引き締めを終えて経済を前面に出し、本格的な実利外交に出ようとする動き」だという分析が出ている。

    4日、ダボスフォーラムに精通した消息筋は、「李洙墉北朝鮮外相を含む北朝鮮の高官がダボスフォーラムに出席することにした」とし、「ダボスフォーラムでの具体的な活動計画はまだ決まっていなと聞いている」と明らかにした。今年のダボスには李外相とともに、尹永石(ユン・ヨンソク)対外経済部局長とハン・ウン農業開発銀行社長などが訪問する予定だ。

    今年のダボスフォーラムは「第4次産業革命」をテーマに、世界50カ国の首脳をはじめとする国際機関の首長、グローバル企業など総3000人あまりのグローバルリーダーが参加する予定だ。

    李外相一行は今回のダボスフォーラムで、金正恩第1書記執権以後、北朝鮮の変化というメッセージを全世界に伝達する役割を担うものと思われる。

    2011年の執権以後、まだ一度も海外訪問に出ていない金第1書記だけに、李外相を通じてどんな外交的ジェスチャーを見せるかによって東北アジアはもちろん、国際社会に大きな波紋を起こすだろうと思われる。

    特に、北朝鮮の「外貨稼ぎ」を担当する対外経済省の官僚が同行するという点から、経済外交に乗り出す可能性が高い。北朝鮮は現在、伝統的な友好国である中国・ロシアとの関係でもこれといった成果を得られないまま、国際社会の「ひとりぼっち」に転落し、外交的突破口を整えることに困難を経験している。国際社会で閉鎖的なイメージから脱けだし、経済回生のための外資誘致に総力を傾けるという意志を示すだろうと予想される。

    金第1書記がダボスフォーラムを通じて、間接的に国際社会にメッセージを伝達しようとするところには、中立的なスイスとの縁も作用したものと思われる。金第1書記は1998年から2000年まで、スイスのベルンに位置したリーベフェルト・シュタインホルツリ公立学校に通った。当時、妹の金与正(キム・ヨジョン)現北朝鮮労働党宣伝扇動部副部長も一緒にスイスで生活した。

    ダボスフォーラムを訪れる李外相は当時、スイス大使を務めており、金兄妹の留学生活を世話した縁がある。李外相はジュネーブ代表部・スイス・オランダ駐在大使を務めた欧州通であり、北朝鮮の外資誘致業務を総括する合弁投資委員長を務めた経済・外交通だ。キム第1書記のダボス特使としては最適任者だ。

    李外相とダボスを訪問する尹永石対外経済省副総局長は、北朝鮮が最優先の経済開放戦略として打ち出す19ヶ所の地方級経済特区の外資誘致実務を統括する人物だ。北朝鮮は昨年から、国連など各種の国際機構への加入のために努力するなど、国際社会への軟着陸の意志をのぞかせてきた。

    李外相は先月、フランスのパリで開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議に出席し、北朝鮮の環境保全の意志を対外的に知らしめ、先だつ2014年には国際資金洗浄防止機構(FATF)に登録した。

    イム・ウルチュル慶南大教授は、「北朝鮮の内部事情が安定軌道に進入したという自信を得て、ダボスフォーラムに参加しようとする意図と思われる」と説明した。イム教授は「北朝鮮代表団はダボスで経済開発のための構想とビジョンを明らかにし、外資誘致のための広報活動を広げる可能性が高い」と展望した。

    キム第1書記は去る1日に発表した新年の挨拶で、「わが党は人民の生活問題を、数多くの国事中で第一の国事としている」と明らかにし、政治・軍事よりも「経済」に異例で力点を置いた。

    今回の北朝鮮代表団のダボスフォーラム出席を、来る5月に開かれる35年ぶりの第7次労働党大会を控えて、経済回生・民生改善のための事前整地作業の一環として解釈することができる部分だ。

    北朝鮮は1990年代半ばに発生した大飢饉事態の、いわゆる「苦難の行軍」の時期の前後、ダボスフォーラムに高位級の経済・貿易代表団を送った。

    1989年、当時の政務院傘下のチェ・ヒジョン合弁工業部長が率いる代表団を初めて派遣した後、1996~1998年には外資誘致と対外貿易を担当する対外貿易・経済委員会の正・副委員長(長・次官級)を送り、セールスに乗り出した。

    1997年のダボスフォーラムに出席したキム・ジョンウ対外経済協力推進委員長は、北朝鮮式資本主義の実験場である羅先経済貿易地帯への投資誘致活動を広げたことがある。
  • 毎日経済_イム・ソンヒョン記者/キム・ソンフン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-01-04 22:07:14