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開城工業団地に残された南側資産取り戻す可能性消える

北「南側の資産すべて清算」…東海にミサイル2発発射 

    △写真=2016年、双龍訓練に参加したニュージーランド軍将兵が9日、韓国軍の独島艦にて米軍MV-22オスプレイを利用した空中突撃訓練をしている [写真提供=海軍]

    北朝鮮は10日、韓国政府独自の対北制裁措置に対抗し、金剛山・開城工業団地に残された南側の資産をすべて清算すると宣言した。北朝鮮はまた、南北間で結んだ経済協力・交流に関する合意も無効にすると明らかにした。こうしたなか、北朝鮮は史上最大規模で進行中の韓・米連合軍事訓練に対応して、国連決議が禁止している弾道ミサイル2発を東海上に発射し、「武力示威」を継続した。

    この日、北側の対南機構である「祖国平和統一委員会(祖平統)」はスポークスマン談話を出して、「(南側が)一方的に金剛山観光と開城工業の稼働を全面中断しただけに、我々(北側)の地域の南側企業と関係機関のすべての資産を完全に清算するつもりだ」と主張した。

    祖平統は「この時刻をもって北南のあいだに採択・発表された経済協力と、交流事業と関連したすべての合意は無効であると宣言する」とし、朴槿恵政府に打撃を加えるための「計画された特別措置」が連続的にとられるだろうと威嚇した。祖平統は談話で朴大統領に対して露骨に非難し、北朝鮮軍は先制攻撃の方式に方針を転換して「最後の命令」だけを待っていると脅迫した。

    この日、北側は北側地域内の南側資産について「清算」という異例の表現を使用して、全面的な関係断絶を公式化した。これは去る8日、韓国政府がうち出した独自制裁に対してより強く反発し、現政府とは関係そのものを終わらせるという意味に解釈される。また、経済的被害がともなう極端な措置を講じて、南側社会をゆらすという意図もあると解釈される。

    イム・ウルチュル慶南大教授はこの日、北側の発表について「開城工業団地の再稼働はもちろん、その他の南北の協力の余地を最終的に清算し、今後は最小限の可能性や余地を排除する宣言だと思う」との見解を出した。

    イム教授は、「北韓(北朝鮮)は経済的被害など韓国社会の〈弱い輪〉と思って、自分たちがいつでもわが方の社会をゆらすことができると考えている」と今回の措置をとった背景について説明した。

    イム教授は、「南北間の衝突が起こった後になって南北関係が再定立されるケースを防ぐためには、米国と中国の役割がカギになるだろう」と予想した。

    統一研究院の鄭永泰(チョン・ヨンテ)専任研究委員も、「北韓は韓国がとった一方的な対北制裁措置に対して直接対応した次元に思える」とし、「北韓が過去の金剛山事態よりもはるかに速く、直接反発する姿を見せている」と分析した。この日の北側の措置により、開城工業団地の各入居企業は北側に置いてきた資産を取り戻す可能性は事実上消えた。当初、北朝鮮専門家らも先月に政府が国連決議の採択に先立って開城工業団地の全面中断を宣言した時から、工業団地内の資産の恣意的処分の可能性を提起していた。

    先月、開城工団企業緊急対策委員会側の調査によると、入居企業がこうむる財産上の被害額は8152億ウォン以上と推算される。このうち固定資産は5688億ウォン、棚卸資産は2464億ウォン(原・副資材1052億ウォン、再加工品569億ウォン、完成品843億ウォン)だ。

    北側が2010年に没収・凍結した金剛山地区内の南側の政府・企業の資産も、この日の発表で取り戻すことが難しくなった。当時、北側は金剛山の離散家族面会所と消防署、文化会館などの韓国観光公社側の資産などを没収し、現代峨山などの民間企業が投資した金剛山・外金剛ホテルとゴルフ場・スパリゾートなどを凍結措置した。現代峨山は金剛山地区の土地使用およびビジネス権利の取得に必要な5857億ウォンと、施設投資額2268億ウォンを投資した。観光公社・農協はもちろん、一般企業も金剛山に1329億ウォンを投資したが狼狽することになった。

    • < 北側地域に残った韓国の資産は >

    北側が公言した「清算」がどのように進められるかは未知数だ。通常の清算手続きでは、会社や組合などの法人が破産や解散により活動を整理する過程で財産関係を整理する手順を踏む。しかし北側がこのように、一方的に南側の資産を清算すると明らかにしたのは前例も類例もないからだ。したがって、一部では北側の言う清算は実効性がなく、象徴性を前面に出した措置ではないかという解釈も出ている。北側が開城工団・金剛山内の南側資産を第三者に売却するケースは、まず実現可能性は高くない。近隣の電力状況などを勘案すれば、北側が直接工団を運営することも容易ではない。

    ただし北側が南側に対する怒りを示すために一部の資産を公開破損・破棄したり、恣意的に活用する可能性は排除できない。

    工団閉鎖による被害の保全するために戦々恐々としていた開城工業団地の各入居企業は、今回の発表でさらに力が抜けた。ユ・チャングン開城工業団地企業協会副会長は、開城工業団地の再開は実質的に先送りになっただけに、政府は開城工業団地の各入居企業がこうむる損失に対し、確実な補償を一日も早く用意することを促した。ユ会長は「政府であれ北韓であれ、投資家の財産を清算して同意さえ求められないのは問題」だとし、「厳然たる投資家の権利を守ることができるように、本質的な救済を用意しなければならない」と強調した。
  • 毎日経済_キム・ソンフン記者/キム・ジェグァン記者/ノ・スンファン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-03-11 01:27:25