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ワームビア氏、米国帰還6日後に死亡…ますますこじれる韓・米関係

  • ◆ ワームビア氏死亡の後遺症 ◆

    文在寅(ムン・ヂェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領の最初の韓・米首脳会談を控えて、また別の超大型の悪材料が起きた。北韓に抑留されたが17ヶ月ぶりに昏睡状態で解放された米国人大学生オットー・ワームビア氏が、帰還してから6日めの19日(現地時間)、けっきょく亡くなった。

    ワームビア氏の死亡ニュースに接した米国内では、北韓を懲らしめるべきだという世論が沸騰し始めた。北韓の軍事的圧迫を軽減し、南北対話に乗り出すとした韓国政府に「火の粉」が飛び散る勢いだ。

    サード配備の遅延による葛藤とジョン・マケイン上院議員の冷遇論難、ムン・ジョンイン青瓦台統一外交安保特別補佐官の舌禍に続いてワームビア氏の死亡までかさなり、韓・米関係は幾重にも重なった悪条件を迎えている。

    すでに両国政府間の対北政策「食い違い」と、韓米同盟の弱体化懸念が出はじめた。 29日、ワシントンで予定されている韓・米首脳会談が順調に進行されるか心配する声も大きい。

    青瓦台はマケイン上院議員冷遇説に対して訪韓議論の過程を詳細に説明し、ムン・ジョンイン特補の発言は個人的な見解だと線を引くなど、一歩遅れて対応に乗り出したのもこのような懸念を傍証するものだ。

    ムン大統領がワームビア氏の家族に異例の弔電を送ったことも同じ脈絡だ。ムン大統領は20日、ワームビア氏の死亡と関連して米国に弔電を送り、「死亡の知らせに切なさを表し、家族と友人の方々に心から弔意と慰めの言葉をお送りする」とし「北韓が人類の普遍的価値と規範である人権を尊重していないことがたいへんに嘆かわしい」とした。韓・米首脳会談を控えて事態の深刻さを感じ、「米国かかえこみ」に乗り出したものと思われる。

    これらの試みが米国に受け入れられかは未知数だ。ワームビア氏の死亡は米国社会に大きな衝撃波を投じた。ワームビア氏の家族が死亡原因を、北韓の拷問と虐待だとしたからだ。まず北・米関係はさらに悪化の一途を駆け上がると思われる。

    ワームビア氏の家族はこの日の午後にオハイオ州シンシナティで声明を発表し、「オットー・ワームビアの完全な帰還が中断されたと発表することはあまりにも嘆かわしい」とし、「北韓で受けたひどい拷問や虐待が今日の悲しい結果を招いた」と明らかにした。

    トランプ大統領は、ホワイトハウスで開かれた情報技術(IT)企業のリーダーらとの政府コンピュータ・ネットワーク改革会議に出席した席で、ワームビア氏の死亡ニュースを聞いて直ちに「北韓は残酷な政権(brutal regime)」だと非難した。トランプ政府の傾向からすると、北韓に対する米国の圧力はこれまでよりもはるかに強度が高くなる可能性がある。この日、ワームビア氏の死去直後、米国の戦略爆撃機B-1Bランサー2機が20日午前、韓半島に出動し、わが空軍のF-15Kと合同訓練を実施したことも注目される。

    トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスでの非難に続いて別の声明で、「米国はいま一度北韓政権の残酷さを糾弾する」とし、「ワームビア事件をきっかけに、罪のない人々を相手に法規範と基本的人権を尊重しない政権がほしいままにするこのような悲劇を防ぐ米国の決意はさらに堅固になった」と述べた。

    国務省は北韓の最大貿易相手国であり、同盟である中国の対北韓制裁を今よりもさらに強化するように公式に要求した。スーザン・ソーントン国務省東アジア太平洋次官補はこの日のブリーフィングで、「21日にワシントンDCで開催される中国との外交安保戦略対話で、楊潔篪(ヤンジェチュ)外交担当国務委員などに対北韓制裁の強化要求を直接わたすつもり」だと述べた。

    トランプ大統領を筆頭に、ワームビア氏に対する弔意の声明はマイク・ペンス副大統領、レックス・ティソン国務長官、ニッキー・ヘイリー国連駐在米国大使、そして連邦議会の上下院議員につながった。

    世論を背にした米国の政経関係の対北圧迫措置はさらに加速するものと思われる。ジョン・マケイン上院軍事委員長は「米国人ワームビアが北韓の金正恩政権によって殺害された」とし、「政府は敵対政権による国民の殺害を見逃してはならない」と主張した。シェルダン・ホワイトハウス民主党上院議員は、「米国全域でワームビア氏の家族に向けた哀悼の波が起きている」とし、「政府は北韓に対する制裁を明らかに提示しなければならない」と促した。

    ティソン長官はまた、まだ北韓に抑留された残りのアメリカ人3人の即時釈放を要求した。ボニー・グレーザー戦略国際問題研究所(CSIS)研究員は、「トランプ政府は中国の支援を受けて、北韓のアメリカ人3人を釈放させるために最善の努力を尽くさなければならない」と強調した。

    ワームビア氏の死亡をきっかけに、米国では北韓への旅行禁止議論が急流に乗ると思われる。すでに議会と行政府のそれぞれで、米国人の北韓旅行を禁止または制限する案が推進されている。アダム・シフ民主党下院議員とジョー・ウィルソン共和党下院議員は、観光目的の北韓旅行を全面禁止し、それ以外の訪問については政府の事前許可を受けるようにする内容の「北韓旅行統制法」を先月に発議した。

    スチムソンセンターのアラン・ロンバーグ客員研究員は、「ワームビア氏の死亡でしばらく北・米対話の可能性はさらに遠のいた」と診断した。
  • 毎日経済 ワシントン=イ・ヂンミョン特派員/ソウル=チョン・ソクファン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-06-21 06:54:59