記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)

ネイバーと日ソフトバンク、人工知能で協業


    ネイバーが日ソフトバンクと協業し、人工知能(AI)の専門会社設立を推進することは、宿願である海外市場の攻略と深い関連があるという分析が出ている。李海珍(イ・ヘヂン)創業者兼グローバル投資責任者(GIO)は、今年をネイバーのグローバル進出元年と宣言した。李GIOは去る3月、社員らにネイバーのグローバル進出戦略を説明する席で、ネイバーとソフトバンクのそれぞれの子会社だったラインとヤフージャパンを統合して発足したZホールディングスを紹介し、ソフトバンクという最高のパートナーを得たと強調した。同氏は「グローバルな挑戦が難しいことはよく知っているが、今年は大きなチャンスが来た。胸がわくわくする」と述べた。

    その後ネイバーとソフトバンクは、さまざまな事業分野での協力を進めながらAI分野に注目した。 AIは米グーグルやアマゾン・、フェイスブック、アップル(GAFA)と中国の百度とアリババやテンセント(BAT)など、ビッグテック企業間で主導権を掌握するための角逐戦が激しい。

    ネイバーはAI技術と開発者を、ソフトバンクは資本とグローバルネットワークなど、両社の強みを活用してAIの専門会社を設立すれば、攻撃的なAI開発で日本と東南アジアなどの海外市場攻略は加速するだろうという期待が出てくる。ネイバーのAIを開発するクルロバCIC(社内独立企業)が、分社やジョイントベンチャーの設立などを本格的に検討することにした背景だ。

    クルロバCICはネイバーが運営している8つのCICの一つだ。 2017年ネイバーがスペインのバルセロナで開催された世界最大のモバイル展示会「MWC(モバイル・ワールド・コングレス)」でAIプラットフォーム「クルロバ」を公開して誕生した組織から出発した。そして昨年にクルロバCICに生まれ変わった。ネイバーはCICが市場で独自生存が可能だと判断すれば、分社を推進するのが原則だ。

    業界ではAIの開発に膨大な金額がかかるだけに、クルロバCICがソフトバンクなどからどれほど投資を誘致するかがカギだと見ている。クルロバCICがソフトバンクと協力するために独立すれば、ネイバーウェブトゥーンとネイバーフィナンシャルに続き3番めの分社になる。

    クルロバCICはネイバーのAI技術の研究開発(R&D)で重要な役割を担っている。音声認識(Speech)、音声合成(Voice)、光学式文字読取(OCR)、ビジョン(画像認識)、マシンラーニング(ML)、自然言語処理(NLP)などの尖端AI技術を開発し、ネイバーとラインの商品およびサービスに適用している。

    去る5月、国内企業では初めて超巨大AI「ハイパークルロバ」を公開して商用化に成功した。世界最高水準のAI研究能力も備えている。クルロバCIC内のAIラボは、ソウル大学とKAIST、独テュービンゲン大、ベトナムのハノイ科学技術大学と郵政通信大学など、韓国・欧州・東南アジア地域の世界的なAI研究大学との共同研究を行っている。世界的なAI学会で今年発表した論文は60編あまりに達する。複数の情報技術(IT)業界の関係者は、「クルロバCICは国内でほとんど唯一の、グーグルとアマゾンやフェイスブックなどの米ビッグテック企業とAI分野で競争できる能力を保有している組織」だと語った。 Zホールディングスを支配するAホールディングスの持分構造を組むときにも孫正義ソフトバンク会長がネイバーの技術力を認めて、ネイバーとソフトバンクが半分ずつ分け合ったという裏話だ。

    最近はAI市場の流れもクルロバCICの変化に影響を与えたという分析だ。今までのAIは「金を食べるカバ」だったが、「黄金の卵を産むガチョウ」の待遇を受ける時代が近くなったことを意味する。実際に、碁士のイ・セドル9段と対局したAI「アルファGo」を開発したディープマインドは2014年にGoogleに買収された後、毎年赤字を出していたが昨年初めて黒字を達成した。米テスラ創業者のイーロン・マスク氏が設立したAI研究所オープンAIの超巨大AI GPT-3も損益分岐点を超えた。

    業界関係者は、「クルロバCICの独立はCICを育て、世界の成長動力を強化しようとするネイバーの戦略と合致する」とし、「イ・ヘジン創業者は社内組織が成長して第2のネイバーが出たらという言葉を口にしたりもしたが、近い将来に現実になるかもしれない」と語った。

    新しいAI専門会社は「AIトランスフォーメーション(革新)」を支援するAI技術とソリューションを開発すると思われる。ネイバーはクルロバCICの従業員が現在700人だが、今後は米国と欧州やインドなどの専門人材を確保して、最大で5000人まで規模を大きくする構想も計画されていることが伝えられた。業界の関係者は「クルロバCICの一人立ちをきっかけにソフトバンクを背負ったAI専門会社が誕生すると、米・中のビッグテック企業の対抗馬として浮上する可能性がある」と語った。
  • 毎日経済 | 東京=キム・ギュシク特派員/ソウル=イム・ヨンシン記者 | 入力 2021-10-15 18:57:34