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[科学の香り] 健康食品の盲信が呼び起こした「白首烏」騒動

    韓国の株式投資家にとって、4月は残酷な月だった。去る4月22日、韓国消費者院で人気の健康食品「白首烏(ペクスオ)」の原料に異物である「異葉牛皮消」が混ざっていると発表した。その後、関連商品の返金の件でホームショッピングの業務は麻痺状態で、コスダック市場で最高の期待株だった関連企業の株価が暴落するなど、その後の爆風が大韓民国全体を覆った。いったい白首烏は何者で、株式市場を越えて韓半島(朝鮮半島)全体を振っておいたのだろうか。

    まず、白首烏の効能について調べてみよう。一般的に白首烏は、更年期・閉経期の症状に効果が高いとされている。また、顔面紅潮・不眠・神経過敏・憂鬱・疲労などにも効果を発揮するという。閉経後の女性には救世主のような存在なのだ。

    最近のイシューも関連企業の健康食品が本物の白首烏ではなく、似たような異葉牛皮消が混ざっていることから始まっている。ところが、本物の白首烏についても、その効能については専門家の間で意見が分かれている状況だ。基本的に白首烏の効能に対する臨床的な根拠が多くないからだ。

    ▶ 韓国国内の学術誌に発表された臨床試験も2編に過ぎない

    大韓家庭医学会の根拠中心医学委員会(以下、委員会)など、医学界で認めた関連の臨床試験は5月5日基準で、合計2編に過ぎない。委員会によると、学術研究情報サービス(RISS)サイトで、白何首烏、白首烏、異葉牛皮消を検索キーワードにして論文を検索した結果、国内学術誌に発表された論文の検索結果は、合計164件あるが、このうちで当該物質と関連する論文は20編であり、このうち、人を対象に施行された臨床試験はたったの1編だ。委員会で手動で追加検索した結果、白首烏の更年期症状緩和に対する1編の臨床試験が追加で検索され、国内の学術誌に発表された白首烏の効能に対する臨床試験は、合計2編だ。

    問題はこの2編の論文も、その効能を明確に立証したと見ることは難しいということだ。2003年に韓国生物工学会誌に発表された最初の白首烏関連の論文は、白首烏・ニホントウキ・乾いたショウガなどを投与した閉経後の女性24人を対象に臨床実験を行ったものだ。58.3%が閉経症状の好転を見せたが、白首烏を単独で使用したものではない。共同著者に白首烏の製品を生産する関連企業の研究者が上がっているのも疑いの目を招くのに十分だ。

    韓国韓医学研究院で運営する伝統医学情報ポータルの論文検索でも、白首烏関連の論文2件、白何首烏関連の論文3件、研究報告書を4件見つけたが、人を対象とした臨床試験はなかった。

    ▶ 健康食品の盲信が副作用よりも危険

    閉経症状自体の特徴から、偽薬効果(プラシーボ効果)がさらに大きいという意見もある。更年期症状は、基本的に体に問題があるというよりは、女性ホルモンの数値の変化過程で生じる自然現象であるだけに、時間がたつにつれて緩和されることを薬の効果と勘違いしやすいということだ。実際に韓国消費者院によると、4月基準で市販されている白首烏の入った健康食品32製品のうち、本物の白首烏を原料として使用した製品は、3つの製品(9.4%)に過ぎないことが分かった。90%が偽物だったということだ。この製品を服用して症状が好転したと思われる場合、偽薬効果である可能性が高い。

    重要なのは白首烏の効能について真偽を見極める前に、根拠のない健康食品ブームにつられているのではないか振り返ることだ。大韓漢医師協会が2013年に全国の漢方医3960人を対象に実施したアンケート調査で、回答者の64.6%が「紅参のような健康食品の副作用で来院した患者を診療した経験がある」と明らかにする程、盲信は広がっている。第2、第3の白首烏騒動が起こらないように、より慎重に健康食品を見つめる視線を持たなければならない時だ。
  • 毎日経済_文:キム・チョンハン科学コラムニスト、コラム提供:韓国科学技術情報研究院(KISTI) | (C) mk.co.kr | 入力 2015-06-18 10:13:25