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KAIST、成果至上主義の研究開発ではなく科学的好奇心に研究費を支援

カイストの「逆転の発想」…グランドチャレンジ30プロジェクト 

    1913年6月、デンマーク生まれの若手科学者である「ニールス・ボーア」は、丸い核とその周辺を回っている電子で構成された「原子模型」を初めて提示した。当時の学界では、たんなる破格的な理論の一つとして思われた。しかし科学者たちはボーアの理論を量子力学的に発展させ、100年が過ぎた今や半導体やレーザーなどの新産業の土台となった。

    金明植インペリアル・カレッジ・ロンドン大学教授は「現在、ヨーロッパの国内総生産(GDP)でレーザー産業が占める割合は20%に達する」とし「当時、金にならないと放っておいたなら人類の進歩はなかっただろう」と語る。

    KAISTが新たな挑戦を開始する。韓国科学界の慢性的な問題である成果至上主義の研究開発(R&D)から抜け出して、科学的好奇心に最長30年のあいだ研究費を支援する「グランドチャレンジ30プロジェクト」を本格的に稼働する。今年の上半期に5人を選抜したことに続いて下半期には10人を選び、選ばれた研究者には1年に2000万ウォンずつ、最大30年間支援する。

    グランドチャレンジ30プロジェクトには、韓国科学技術界の弊害に警鐘を鳴らす意味がそのまま盛り込まれた。まず研究トピックは自由だ。 KAISTはグローバルな課題や人類に投げかける基本的な質問など、研究テーマに制限を付けなかった。むしろ最近にぎやかな「ホットイシュー」や、「10年以内に商用化が可能なテーマ」などは対象から除外された。一言で「金にならない研究」を選ぶという意味だ。

    流行を追う研究だけに執着してきた、政府の研究開発支援と正反対だ。李明博政権時代の、政府の開発研究の核心キーワードは「緑色」だった。太陽光発電や自転車などの課題が雨後の竹の子のように生まれた。現政府も将来の成長動力に中長期的支援を行うとしたが、分野は時流に左右された。「アルファ碁」が話題になるやいなや人工知能の課題が入り、ポケモンGOの流行直後は仮想現実をあげた。 KAISTの支援対象が商用化の可能性を全く考慮していない一方で、政府の開発研究支援を受けるには必ず5~10年後に期待される効果を記載しなければならない。科学者たちはこれを「グーグル効果」と呼ぶこともある。

    KAIST実験のもう一つの特徴は、研究のための評価だ。

    研究者は、5年間は自分で自分のアイデアが正しかったのか、独自に検討を続行するかどうかを自分で決める。 5年後から専門家の評価が行われるが、研究を誠実に実行しているかどうかを見るだけで、成果を促す項目はない。

    一方、現政府のR&D課題の審査及び評価は、それぞれの分野の専門知識ではない者が審査員になる。非専門家らは質的評価を行うことはできないので、論文の数だけを扱って、数字で出てくる商業効果にのみ執着する。
  • 毎日経済_ウォン・ホソプ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-09-23 20:21:29