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テクノロジー > 健康・医学

薬物治療でがん患者の難聴予防の可能性を初提示

亜洲大学病院耳鼻咽喉科チョン・ヨンフン教授チーム 

    国内医療陣が薬物治療でがん患者の難聴を防ぐことができるという研究結果を世界に先駆けて発表した。

    亜洲(アジュ)大学病院耳鼻咽喉科チョン・ヨンフン教授とキム・ヨンジュ研究講師の研究論文が、国際著名学術誌である『活性酸素学会誌(ARS / Antioxidants&Redox Signaling)』10月号の表紙論文として掲載された。『活性酸素学会誌』は、生化学および分子生物学分野の国際著名学術誌(SCI)で、引用指数が7.093だ。

    論文は、耳毒性薬物であるシスプラチンの難聴誘発メカニズムでコネクシン43の役割を究明したもので、論文のタイトルは「抗がん剤シスプラチンによる難聴副作用でのコネクシン43タンパクの役割(Connexin43 Acts as a Proapoptotic Modulator in Cisplatin-Induced Auditory Cell Death)」だ。

    シスプラチンは、がん治療に広く使用される代表的な抗がん剤で、難聴という副作用を誘発する。それにもかかわらず、がん患者に、必然的に使用されており、これによる難聴を保護する方法が現在ない。内耳には、聴覚機能の維持のためのカリウムイオン局所循環に関与する隙間結合というチャンネルが存在しているが、このチャンネルを構成する小単位のタンパク質がコネクシンだ。

    研究チームは、シスプラチンを腹腔注射して難聴が誘発されるマウス実験群とシスプラチンにコネクシン形成-隙間結合抑制剤であるカルベノキソロンを一緒に投与する実験群で、聴力検査および聴覚有毛細胞の消失の程度を観察した。

    その結果、シスプラチンを注射した実験群で相当な聴力低下を見せることとは異なり(聴力閾値:> 40デシベル)、カルベノキソロンを一緒に投与した群では、相当の聴力保存効果(聴覚閾値:<25デシベル)が観察された。カルベノキソロンは甘草の根から抽出した成分で製造された薬物で、一時、抗潰瘍剤として広く処方されていた薬だ。

    研究者らは、カルベノキソロンの局所的吸収方法を開発し、一部持っている副作用を克服し、カルベノキソロンの薬の効果を最大化するために努力している。つまり、服用や注射を通じた全身吸収でなく、鼓膜内注射療法で蝸牛管だけにカルベノキソロンを吸収させる研究を通じた実用化に力を入れている。

    チョン・ヨンフン教授は、「今回の論文は、隙間結合調節薬を通じて難聴を防ぐことができることを世界に先駆けて報告したもので、具体的にはがん患者で多く使用されるシスプラチン抗がん剤の代表的な副作用である聴力消失を防ぐことができる道が開かれたことに大きな意味がある」と伝えた。この研究は、韓国研究財団の中堅研究者支援事業-投薬研究の支援を受けており、実用化の可能性が高いことが分かった。
  • 毎日経済 イ・ビョンムン医療専門記者 / 写真=photopark.com | (C) mk.co.kr | 入力 2016-10-20 11:29:42