記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
テクノロジー > 健康・医学

握手はもちろん、恋人と手もつなげない多汗症・わきがの正体とは

  • 気温が上がって万物が生き生きとする春が来たが、汗が多く出る人々にとってはこれからが悩みの季節だ。手と足・顔・脇などの特定の部位に汗がたくさん出る多汗症のためだ。特に、多くの患者が不快感を訴える脇は悪臭を伴う場合が多く、満員電車・バスの中では忌避対象1号と呼ばれることもある。

    人間の体には、エクリンとアポクリンという二つの汗腺がある。

    透明な汗を排出するエクリン腺とわきがの原因となるアポクリン腺だ。皮膚の表面に広範囲に渡って存在するエクリン腺から出る汗は99%が水分であり、べたつくことがなく臭いもほとんどない。

    多汗症は自律神経系の異常で、他の人に比べてエクリン腺から汗がたくさん分泌される体質のことだ。多汗症は交感神経が敏感に反応することにより現れる感情的な発汗がある。この場合、手や足・脇などの一部で特発性の形で多く現れる。

    他の原因としては、全身疾患と関連した多汗症として糖尿病・低血糖・鬱血性心不全・甲状腺亢進症・アルコールや薬物の禁断・不安や更年期障害などを原因として見ることができる。普段から汗が過度に流れるなら、代謝性疾患が伴うかどうかを疑う必要がある。遺伝的な体質も多汗症の原因として見ることができるが、もし親のどちらか一方が多汗症なら50%、両方多汗症なら80%以上の確率で多汗症の可能性がある。

    脇の多汗症患者であれば、わきがは必然的に伴う疾患だ。厄介なにおいを漂わせるわきがの原因となる汗はアポクリン腺から分泌される。この汗腺は、エクリン腺とは異なり、全身に分布しておらず、陰部、乳首周辺、肛門周辺、耳の中にあり、脇に最も多い。わきがとは主に脇の臭いを思い浮かべるが、アポクリン腺は、エクリン腺に比べて10倍もサイズが大きく、ここから出てくる汗ももともとは臭いがしない。しかし、アポクリン腺から分泌される汗に含まれている脂肪やタンパク質などの物質が毛穴の周りの細菌によって有機物が分解され、不快な脂肪酸の臭いを噴出する。

    わきがのもう一つの原因は皮脂腺だ。脇の毛包周囲に存在する皮脂腺から出る分泌物には脂肪分が多いが、アポクリン腺と同様に脂肪により細菌が繁殖して悪臭を放つようになる。

    多汗症・わきがの治療方法は大きく注射、レーザー、手術に分けることができる。

    最も簡単な方法であるボトックスは汗腺部位に注射して神経伝達物質の分泌を抑制し、汗の分泌をブロックする方法で治療する。汗がたくさん出る部位に薬物を1.5センチ間隔で注射するのだが、施術時間が5~10分程度と短く、副作用がない。施術後3日後から現れ始める効果は1カ月までが最も良く、以降少しずつ汗が再び出はじめ平均5~6カ月後にはもとの状態へと戻る。

    ボトックスより明確な治療法である手術療法もある。大きくは皮膚を切開して汗腺を除去する切開法や細い吸引管を脂肪組織に入れて、脂肪を吸引する脂肪吸入法に分けることができる。治療のためには皮膚を切開する必要があるため、傷が残り、各種合併症、費用などの欠点があり、最近ではあまり行われていない。

    切開や合併症がないのに効果と持続力に優れた治療法もある。最近導入されたマイクロ波(あるいはミラドライ)治療法だ。マイクロ波は300MHz∼300GHzの間の周波数を持つ電磁信号のことだが、高周波とレーザー間の波長を利用して、皮膚の中に熱を加えて汗腺を破壊し、表皮は冷却して保護する方法だ。汗腺が主に存在する下部真皮と皮下脂肪層の境界部位にのみ55~60度程度の温度上昇を起こし、汗腺細胞は熱によって選択的に破壊される。このように破壊された汗腺は再生成されないため多汗症治療効果の持続性にも優れている。

    また、汗や臭いを同時に治療する方法で、肌の表面に損傷を与えず、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けた安全な施術だ。手術的な方法に比べて回復が非常に速く、日常生活にほとんど支障がなく、傷、血腫形成、感染症、永久的な神経損傷などの深刻な副作用の危険性が大幅に低いというのが長所だ。ミラドライは施術部位以外の部位に汗がたくさん出る代償性多汗症のような副作用もない。

    やや軽い多汗症・わきがの場合、日常生活のなかで食習慣管理と清潔を維持するだけでも、抑制が可能だ。清潔さは汗と肌の細菌の発生を極力抑えてくれる。朝夕に殺菌効果が良い薬用製品を使用してきれいにシャワーを浴びて、パウダーなどを使用して乾燥させる。体毛は皮脂がからまって細菌が繁殖しやすい温度と環境を造成するため除去することが有効的だ。

    食習慣も多汗症・わきが管理に重要だ。脂肪の摂取量は体臭をさらに強くするため、肉、卵、牛乳、バター、チーズなどの高脂肪、高カロリー食品ではなく、野菜、魚、海藻、豆などの様々なバランスのとれた栄養を摂取するのが良い。ビタミンは多汗症・わきがの対策と言われたりもするが、ビタミンAは細菌やウイルスの繁殖を抑制してくれて、Cは多汗症・わきがの原因となるストレスを解消、Eは悪臭発生の原因となる過酸化脂質を抑制してくれる。

    江南にあるアルムダウンナラ皮膚科のイ・サンジュン院長(皮膚科専門医)は、「実際に多汗症を診断する時には汗の排出量をチェックするが、それよりは日常生活にどれほど支障があるのか​​に応じて、診断と治療が変わって来る。それほど多汗症は生活の質を非常に落とし、対人恐怖症やうつ病まで呼び起こす疾患だ」とし「しかし、疾患に比べて治療方法は簡単なので、多くの人に会う職種であるほど治療を急ぐ方がいい」と伝えた。
  • 毎日経済 イ・ビョンムン医療専門記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-04-16 07:07:32