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韓医学も科学だ…MRIで明らかになった鍼の効能

    幼いころ「韓医院」に初めて行った時の記憶が鮮やかだ。小学校5年生のとき、サッカーでけがをした足首をつかみ、母は嫌がる私を引きずって家の前にある韓医院に連れて行った。

    心臓がドキドキするほど怖かった。針のようなものがぴりぴりする感じと一緒に突き刺さるのを見るのは「ストレス」だった。

    以後蓄膿症で苦労していた記者に、新世界を経験させたのも「鍼」だった。たとえ完治しなかったとしても、耳鼻咽喉科で解決できなかった病気を韓医院が助けてくれた(もちろんこれは個人ごとに違いがある)。年齢を重ねるにつれてよく韓医院を訪れた。しかし理工系を選択した記者に時々聞こえた声は、「韓医学は科学として見れない」という批判だった。

    最近韓医学は個人個人の経験にのみ頼っていた過去から抜け出し、本格的に現代科学のカテゴリーに入るために熾烈な努力を続けている。

    韓国と米国の共同研究陣は脳の映像技術を融合させた臨床研究を通じて、韓医学の治療技術である鍼治療が手根管症候群の患者の正中神経の伝導速度を向上させ、脳の構造を変化させて痛みを改善させるということを明らかにした。研究結果は国際学術誌である「ブレイン」の最新号に掲載された。韓医学研究院臨床研究部のキム・ヒョンジュン博士と米国ハーバード大学の共同研究陣は手根管症候群の患者に本物の鍼と偽物の鍼を打ったあとの脳の構造や痛みの変化を測定した。

    手根管症候群は、手首を頻繁に使用する主婦だけでなく長時間のあいだコンピュータのキーボードとマウスを使用している事務職員からもよく見ることができるが、健康保険審査評価院の統計によると2015年に手根管症候群で診療を受けた患者は16万7125人であり、このうち女性患者が77.7%で男性患者よりも約3.5倍多いことが分かった。

    既存の脳の映像を通じて鍼の刺激時の脳の反応を調べた研究はあったが、研究者は本物の針が偽物の鍼より効果が良くて本物の鍼だけが脳を変化を与えるという治療構造を究明した。研究陣は79人の手根管症候群の患者を対象に56人は本物の鍼治療群で、23人の偽物の鍼治療群に割り当てた。

    偽物の鍼は「血」と関係のないところに鍼を打つか、皮膚に奥深く刺さない鍼を意味する。

    研究者は8週間で16回の鍼と電気鍼治療を実施しており、治療前後で神経伝導検査で正中神経伝導速度(潜伏期間)を測定して「ボストン手根管症候群アンケート(BCTQ)」で痛みの軽減度を調査した。また、fMRI(機能的磁気共鳴映像)とDTI(拡散テンサー映像)撮影を通じて脳の機能的変化を観察した。キム・ヒョンジュン博士は「本当の鍼は、感覚神経の潜伏期間を平均0.16㎳減少させたが、偽物の鍼はむしろ0.12㎳増加させた」とし「つまり手根管症候群が原因で遅くなった神経伝導速度が、本当の鍼での施術後にのみ改善が確認された」と説明した。

    また、本当の鍼での施術後には神経伝導速度が改善されることによって、症状のある手に対応する脳白質の構造異常が一部回復されるなどの構造的な変化が観察されたが、偽物の鍼施術後には変化がないことが確認された。

    ボストン手根管症候群アンケート調査(BCTQ)結果、8週間の鍼治療の直後に本物の針と偽物の鍼の治療群の患者両方の痛みが軽減したと答えた。しかし、治療の3か月後に本物の針の治療群の症状評価点数は25.1%減少して治療効果が維持されたのに対し、偽物の鍼の症状評価点数は11.1%下落して効果が維持されなかった。

    キム・ヒョンジュン博士は「鍼が臨床的に鎮痛効果を見せることはよく知られているが、従来は患者の主観的な報告に依存するしかなく、鍼の効果を客観的な指標として示すのが難しかった」とし「今回の研究は、実際の鍼だけが正中神経伝導速度を変化させ、また脳一次感覚領域の変化をもたらすという事実をMRIを通じて最初に明かしたもの」と伝えた。

    研究に参加したビタリーナパドー米国ハーバード大学教授も「鍼は安全で副作用の少ない痛みの治療法で、この研究は鍼が神経調節作用を通じて脳の感覚領域に変化をもたらし、治療効果を示す機序を証明した」と付け加えた。
  • 毎日経済ウォン・ホソプ記者/写真=photopark.com | (C) mk.co.kr | 入力 2017-05-11 08:26:33