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サムスンバイオ、CDOで1位のロンザ社に特許訴訟

    • < バイオ医薬品受託製造(CMO)に力を入れていたサムスンバイオロジクスは、
      今後は受託開発(CDO)事業にまで領域を拡大する計画だ。 [写真提供=サムスンバイオロジクス] >



    サムスンバイオロジクスが多国籍製薬会社のロンザ(Lonza)社に特許無効訴訟を提起し、新しい成長動力としてかかげた「バイオ医薬品受託開発(CDO)事業」の火ぶたを切った。創立以来6年間をバイオ医薬品の生産に力を入れてきたならば、今後は開発にまで領域を拡大するという意志を明らかにしたものだ。毎日経済新聞が確認したところ、サムスンバイオロジクスは去る3日、韓国特許審判院にスイスの製薬会社ロンザの「hCMV主要即時早期遺伝子の第1イントロンおよびmCMVプロモーターを含む哺乳動物発現ベクター」特許に対する無効審判請求訴訟を起こした。

    ロンザはバイオ医薬品受託製造(CMO)とCDO事業をともに行う代表的企業であり、世界的なCDO市場の80~90%を占有していることが伝えられた。

    サムスンバイオロジクスはCMOの分野で、独特の速度戦と果敢な投資で世界1位のロンザにすばやく追いついた底力がある。今回の特許訴訟を通じて、CMOはもちろんCDOの分野でもロンザと対決を繰り広げるという挑戦状を出したわけだ。

    抗体医薬品を製造するには治療薬として開発されたDNAを、宿主細胞の内部に浸透させて「細胞株(cell line)」を作成する。細胞株とは適切な条件(培地)と空間を作れば無限に増殖する細胞をいう。この細胞株を育てるときに、DNAを細胞の中に移して育つように助けるタンパク質が「ベクター(中間体)」と呼ばれ、ロンザが保有している特許はさまざまなベクターの中で非常に基本的な中間体に対するものだ。このベクターは既存に知られた技術で比較的容易に作成できることから、バイオ産業の先進国ではすでに特許として認められていない。サムスンバイオロジクスの関係者は、「この特許は米国では特許の放棄、ヨーロッパでは取り下げと考えられ、日本では拒絶決定を受けるなど有名無実となったにもかかわらず、韓国・インド・中国などでのみ維持されている」とし、「CDO事業に本格的に進出し、韓国バイオ産業の不当な参入障壁を除去しようという趣旨で今回の訴訟を提起した」と明らかにした。

    今回の特許訴訟はバイオ医薬品産業の地殻変動と、サムスンバイオロジクスの未来戦略を垣間見ることができるという点で注目される。

    バイオ医薬品産業が急成長して新薬開発プロセスがすばやく短縮されて、グローバルな製薬会社が自主的に行ってきたプロセスは独立した産業に続々と分離されている。サムスンバイオロジクスとセルトリオンが足早に先取りしたCMOが代表的だ。 CMO企業は顧客(多国籍製薬企業)が完成した細胞株を取り寄せて、厳しい工程を経てバイオ医薬品を製造する。 CDOはここからさらに進んで、治療DNAさえ与えれば独自開発で細胞株を作成し、最適な生産工程までセッティングしたうえで完成品を供給するシステムだ。グローバル製薬会社を顧客として確保し、短期間にCMOの強者として浮上したサムスンバイオロジクスが最も得意とする分野だ。現在80%の工程率を示す第3工場が完成すれば、サムスンバイオロジクスは世界最大のCMO設備を備えることになる。すでに確保したCMOインフラストラクチャとグローバルネットワークを活用し、CDOという新しい市場を創出するという戦略だ。

    各顧客社はすでに大きな関心を見せている。サムスンバイオロジクスの関係者によると先月、米国サンディエゴで開催されたバイオ・インターナショナル・コンベンション(バイオUSA)で、すでにいくつかの企業と具体的な議論が交わされた。金泰漢(キム・テハン)サムスンバイオロジクス社長は4月に開かれた創立6周年記念式で、「現在は全バイオ医薬品の生産でCMOが占める割合は25%だが、われわれはこの市場でシェアを50%にまで育てて新たな市場の半分を占める」という青写真を示した。バイオUSAの現場でCDO事業構想を語りながら、「第3工場が本格稼動する2020年にCMOで1位を達成し、CDO事業にもドライブをかけて、2030年には世界のヘルスケア市場をリードする企業になる」という抱負も明らかにした。

    LEKコンサルティングによると昨年、グローバルな動物細胞バイオ医薬品市場の規模は55億ドル(約6兆3000億ウォン)であり、CDMO市場はこのうちの半分ほどの23億ドルを占めている。CMOとCDO事業を並行した場合、バイオ医薬品市場全体の半分以上を攻略できるということだ。抗体バイオ医薬品産業は毎年二桁成長を持続するものと見込まれており、CDMO市場の規模も急激に増加するものと思われる。特に既存の顧客である多国籍製薬会社だけでなく、抗体医薬品を開発する世界の研究所とバイオテックも、サムスンバイオロジクスの顧客になりうると会社側は期待している。
  • 毎日経済 シン・チャンウク記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-07-06 02:06:08