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Q.韓国ではコンサート会場で観客が撮影をして、それをネットで共有してもいいのですか?
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A.もしかして、『UP&DOWN』という曲を知っていますか。ガールグループEXIDの運命を変えた曲です。
EXIDの前所属事務所ABエンターテイメントの代表的な作曲家、「新沙洞ホレンイ」が作曲したこの曲は、人気歌手であるヒョナやAileeもほしがった曲です。紆余曲折の末、2014年8月7日にアルバムを発売しましたが、反応はあまり芳しくありませんでした。反応がなかったと言う方が正しいのかもしれません。
当然メンバーは衝撃を受けたことでしょう。デビューするときは、最高の有望株として取り上げられていたのに、それから2年後に出した新しいアルバムは、発表からわずか2か月後に音源順位が323位なってしまったのですから。両親に「3年以内に成功しなかったら、歌手生活をやめる」と約束していたメンバーのハニは本当に動揺したことでしょう。
いや、メンバー全員の歌手生活が危機に瀕したことでしょう。EXIDの活動は事実上中断された状態でした。
ところがです、坡州での慰問公演でpharkilというファンが撮影したチクケム(ファンが直接撮影した動画)映像が10月9日にSNSに投稿され、状況は180度変わりました。チクケムが男性ユーザーが多いコミュニティやSNSに広がり、アフリカ放送のBJのダンス映像が投稿されたところ、『UP&DOWN』という活動が終わった曲が音楽チャートの82位に再浮上します。
このようなニュースが様々なコミュニティで話題となり、チクケム動画の再生数が増える相乗効果を見せると、EXIDはファンサービスとしてゲリラコンサートを持ちます。音源順位はコンサートの後、継続的に上昇し、12月4日にはメロンチャート4位まで上がります。
こうなると、放送局もEXIDを招待しないわけにはいきません。活動を停止したEXIDがKBS 2TVミュージックバンクに招待されると、ファンはこれを「強制召喚」されたと表現しました。
以来、人気が高いアイドルグループでなければ出演できないというMBCの『週間アイドル』に単独出演して、チクケムが投稿されてから2か月後にメロンチャート1位になりました。新年に入ってから地上波放送でも1位になる感激を味わったりもしました。
EXIDの復活を助けたチクケム映像は、3月9日にチクケム映像初の1000万回の再生数を達成しました。
EXIDにとって、チクケムを撮ってSNSに投稿してくれたユーザーは本当にありがたい人でしょう。EXIDのメンバーは、うわさをたよりに映像を撮ってくれた人と連絡を取り、食事をもてなすと言いましたが、チクケム撮影者は、女性アイドルとの席が負担だったのか丁寧に断ったそうです。
その後、EXIDは公演中にチクケム撮影者と再会しました。ハニが最初に見つけて「ありがとう」と大きな声で言ったそうです。これを聞いた撮影者が「どうしてわかったんだろう」と独り言を言ったという言い伝えがありますが、事実なのかはわからないですね。
成功神話を作ったチクケムがあるくらいですから、芸能事務所が全てのファンの撮影を防ぐことができるでしょうか。EXIDがチクケムにより運命を変えた後、芸能事務所がSNSの活用法を研究するのに奔走しているという話も聞こえてきます。
日本の公演会場でファンたちによる、映像や写真の撮影が完全に禁止されているのかはわかりませんが、これを防ぐことは難しいかもしれません。韓国も最上位にいるアイドルグループの映像を自分のカメラで撮ることは容易でありません。撮影機器を搬入をしても撮影場所を確保することが難しいのです。
しかし、デビューして間もない、ファンがあまりいない人気のないグループは、チクケムについて特に気を使わないことは明らかなようです。ある意味では、ファンたちのその情熱がありがたくもあるでしょう。おそらく、このようなグループの会場では映像機器搬入や撮影を取り締まるスタッフもいないでしょう。
少し別の話ですが、有名なブランドもいわゆる「偽物」の商品をひたすら取り締まるわけではありません。少しぐらいは偽物が出回ってこそブランドの認知度も高まって、偽物と本物を区別する楽しみも生まれるものです。偽物が原因になって本物の購入も増える効果があるのです。
「グループの人気、会場の規模、場所に応じて異なる」というのが、この問いに対する答えなのですが、満足のいく答えであってほしいと思います。
- Lim, Chul | 入力 2015-03-12 17:50:44.537000000
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