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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    対北放送、対南放送とはいったい何ですか?
  • A.
    韓国と北朝鮮がお互いに相手に向かって放送している心理戦です。

    放送の種類は、ラジオと休戦線で拡声器を介して直接放送する2つの方法があります。

    北朝鮮の対南放送は60年代から開始されました。妨害電波を送出してはいるものの、AMラジオや短波ラジオの周波数をあちこちに合わせてみると、運良く(?)聴くことができる場合もあります。おそらく北の住民も同じであるはずです。

    1960年代末までは北朝鮮が韓国より生活水準が良く、韓国に従北勢力がいたため、対南工作の一環として放送が制作されていました。放送の草創期には北朝鮮に渡った人を「人民の英雄」として放送に出演させたりしました。韓国より一足早く宣伝放送を開始しましたので、北朝鮮の送出設備は相当な水準の設備を備えているそうです。

    今でもそうですが、80年代までは北朝鮮の対南放送を聴くことは簡単なことではありませんでした。聴くことも難しかったですが、ややもすると対南放送を聞いて、これを他人に話した場合には、スパイと誤認されがちでした。「布団をかぶってラジオを聴く人」がスパイ識別要領に記載されていたほどですからね。海外から輸入してきた短波ラジオは情報機関の監視項目に属したりしていました。

    陸軍の場合、兵士たちが個別にラジオを携帯することを禁じています。規律の問題のためだといいますが、おそらく兵士たちが対南放送を聞くことを懸念している側面も少しあるでしょう。

    金泳三(キム・ヨンサム)政府以来、短波ラジオの購入や所持が自由になったりしましたが、今でも対南放送を聞いて、複数の人に話した場合、国家保安法違反により捕まってしまう危険性が残っています。

    2012年12月、「統一のこだま放送」という対南放送が開始されましたが、韓国の若者を狙った番組だそうです。韓国の青少年がスマートフォンばかり触っていて、ラジオとはほぼ絶交した状況だという事実を知らないようですね。平壌FM放送の周波数のひとつを対南宣伝用放送に割り当てているそうですが、放送時間は午前7~9時、午後1~3時、午後9~11時だそうです。

    崔仁勲(チェ・インフン)の『灰色人』という小説にも出てくるのですが、ラジオをつけると乱数表のコードを教えてくれる番組もあります。これは、韓国の住民を扇動する対南放送ではなく、工作員に指示する放送です。YouTubeに既に北朝鮮の乱数放送資料が散らばっていますが、コードブックが存在しない場合は何を意味するか分からないし、知ろうと努力してみてもスパイとして鉄格子に閉じ込められる結末意外にはこれといった楽しみもありません。退屈だからといって行うことでは決してないということです。

    北朝鮮の対南放送に対抗するため韓国も宣伝用の放送を開始しましたが、これが対北放送ですね。開かれた北朝鮮放送、自由北朝鮮放送、自由朝鮮放送などがあり、KBSの韓民族放送を対北放送に分類したりします。

    1990年以来、南に降りてきた北朝鮮の住民が対北放送を聞いて故郷を離れることを決めたという話もあります。脱北まではいかなくとも、韓国の社会、経済状況を北朝鮮に伝達するために対北放送が影響を及ぼしているのは事実であるはずです。

    対北放送をする放送局のうち、直接または間接的にキリスト教団体と関連付けられているところが多く、伝道活動に活用したり、過度な自由民主主義の宣伝に熱を上げるせいでドラマより面白くないという評価を受けています。

    米国でも対北放送をしますが、代表的なものがラジオ・フリー・アジア(RFA)放送です。韓国語放送を引き受けたアナウンサーのオープニングコメントは「北朝鮮にいるリスナーの皆さんこんにちは。米国の首都ワシントンからお送りします~」で始まる対北放送です。

    対北放送は受信状態が良い場合、ソウル市内の真ん中でも聴くことができます。春川MBCは、開かれた放送と提携を結んで対北放送番組を放送しているため、春川地域では標準的なFMを通じて対北放送を聞くことができそうですね。

    ちょっと異なりますが、地上波放送からデジタルに変わった後でも完全には消えていないアナログテレビ放送も一種の対北放送と見ることもできますね。 KBSはPAL方式10番でアナログ放送を超強出力で送出していますから、これにより北朝鮮の住民が韓国のドラマを見ることができるそうです。

    今回、朝鮮半島に緊張をもたらした対北放送は休戦ラインから拡声器で流すタイプの放送です。南北合意により2004年に廃止される前には、休戦ラインで働いていた兵士たちは耳が痛くなるほど聞いていた放送でした。

    その当時、休戦ラインで働いていた兵士たちは、新たに配置を受けて勤務を行おうとしたところ、自分の官等姓名を正確に知っていて、歓迎するという放送がなされてびっくりしたと言います。

    拡声器の性能がどれほど良いのか、韓国軍が送出する対北放送は音が24キロ離れたところでも聞くことができるそうです。休戦ライン近くに住んでいる韓国の住民ももちろん聞くことができますよね。ひどい時は昼夜の区別なく1日10~15時間放送したため、寝つきの悪い坡州市の住民はぐっすりと眠れなかったそうです。

    スピーカーを介して直接送出する対北放送の番組は、ラジオ電波を受信して​​エクスポートするのが一般的ですが、北朝鮮で妨害電波を頻繁に送出するため、国防部心理戦団所属の女性軍人が前方に移動して、直接放送する場合もあったそうです。おかげで前方の兵士たちは、久しぶりに女性を見る(?)贅沢を味わったことでしょう。